よくある相談

別居後に自宅のカギを交換されて入れなくなった場合の問題とは?

裁判例で問題となったケース

 それまで住んでいた自宅のカギを交換するようなケースは相当の事情がない場合普通考え難いと思いますが,緊急やむを得ない事情もないにもかかわらず,一方的にそうした事柄が生じた場合には大きな問題となることがありえます。比較的最近の裁判例では,東京高裁令和6年5月15日判決・判例タイムス1529号139頁があります。

 このケースでは,購入したマンションについて,別居によって出て行った側(夫)がその後も定期的にマンションを訪ねていたケースで,そこにその後も住んでいた配偶者(妻)が夫に無断でカギを変更したというものです。そのことについて,原状回復の対応や損害賠償請求を求めたというものです。

 このケースでは別居をしていたという事情はあったものの,その後も定期的に訪問をするとともに,出て行った側の荷物などが置いたままであった等の事情が,判決文からはあったようです。ここでの請求には,自らも管理支配しているマンションの支配状態が奪われたから,その回復を求めるとともに賠償請求を求めたというものです。反論は,すでに別居をしていて時間が経過しているのだから,そうした管理支配は失われた(だから,回復するものや侵害はない)というものです。

 すでに別居してから時間が経過していた点(判決文からは鍵交換まで1年以上は経過していたようです)・定期的な訪問がされ荷物も一定程度置いたままであった等の事情があります。鍵を置いて出て行き荷物もすべて持っていったようなケース(そもそも,鍵の交換が問題になることは少ないように思います)では話が変わってくるように思われます。

 こうした事情の下で,管理支配が無くなったといえるかどうかを裁判所は判断していますが,1審と2審では判断が異なっています。1審では,管理支配が失われているとして請求を退けていますが,2審では定期的な訪問や荷物の存在・鍵を返していないなどの事情から,請求を認めています。

 このケースでは,マンションに入れなくなったことについて,親子交流(面会交流)の妨害を理由とした損害賠償請求も認められています。緊急やむを得ない事情がない場合には,こうした問題も出てくる可能性があります。

別居後に勝手に家に立ち入った場合の問題とは?

 先ほどとは逆に出て行った側が,特に何も告げずに家に戻って来て物を持ち出すようなこともあるかもしれません。夫婦関係では,持ち出したことが窃盗罪に該当して処罰されることはなく,当然には住居侵入には該当しません(後者は事実関係による部分があります)。

 そのため,警察への相談で対応ができない部分がありますが,先ほど触れた話にもあるように鍵交換では問題が出てくる場合がありえます。

 とはいえ,荷物の持ち出しについては財産分与その他についてトラブルを招く可能性が高いので,何を持ち出すのかどうか・いつ持ち出すのかは事前にきちんと伝えておく必要があります。ご自宅に何か取りに行きたい場合でも,相手との調整(離婚の協議等の中で荷物を誰がどのように取得するかの話し合い)はありうることなので,話しにくいからといってここを省略することにも問題が出てくることがありえます。荷物を持ち出した後に残った物も,それを処分していいのかどうかなども,きちんと相手から同意を取っておくことが余計なトラブルを防ぐポイントのように思われます。

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