離婚調停と離婚裁判,その違いとは?
離婚調停と離婚裁判,何が違うのでしょうか?
離婚調停も離婚裁判も離婚に関係する法律的なトラブルを解決するための裁判所の手続きである点は同じです。一番の違いは,話し合い解決が難しい場合に,離婚原因の有無や親権者の指定の問題,その他お金の問題について事実関係を判断し,法的な評価を裁判官が示す(その意味で強制的な解決)であるかどうかという話です。離婚調停でも,お互いの言い分を出して,それに対して一定の見解が裁判所側から示されることはありえますが,基本的には話し合いではなく,強制的な解決を前提にしているかどうかが大きな違いといえます。
話し合いによる一定程度の自由度のある解決が想定されているかどうか,言い分を法律的に整理して・証拠や根拠となる事情を示すことが離婚裁判では想定されています。そのため,そうした点の準備が必要になるというところが離婚裁判と離婚調停での大きな違いです。ちなみに,離婚調停の段階でも意見書その他言い分を整理して出すことはありえますので,違いは相対的なところがあるかもしれませんが,まずは話し合いが想定されておらず整理などが必要である点・書面での対応が必須となる点も違いといえます。
また,調停と異なり裁判の場合には,対応をしておかず放っておくと相手の言い分を認めた内容での判断が裁判所から出されてしまう可能性がある点が重要な注意すべきポイントです。もちろん,調停の場合であっても裁判所からの連絡などを放っておく場合には,審判という裁判所の判断が出されてしまうケースや離婚裁判へと移ってしまう可能性もあります。そのため,放っておいていいわけではありませんが,離婚裁判の場合には裁判官の判断が控えており,放っておくことが自らの言い分や損の根拠を示すことができず判断が出される可能性へとつながっていきます。
ご本人で裁判に対応は可能でしょうか?
日本では弁護士に依頼することが強制されていませんので,ご本人で対応ができないということはありません。実際,離婚裁判を起こされた場合に家庭裁判所から送られてくるだろう書類に含まれている「答弁書」という書類のひな型は,訴状への応答(そこを争うのか・その部分や根拠等)を書く部分があり,そこをきちんと理解して対応できるのであれば,少なくともこの段階での対応自体は可能です。
ただ,事前に書類を準備し裁判に出頭して対応を行っていく(これは一回で終わるとは限りません)必要があります。また,どういう言い分を出せばいいのかということを尋ねても教えてくれるわけではありません。裁判所は一定の必要と思われる事項の応答などをするよう求めて来ますし,専門的な事項を教えてくれる部分はありますが,あくまで中立的な立場に立つので,弁護士への法律相談のようにご自身の立場からいろいろと相談に乗ってくれるわけではありません。
以上を踏まえて,継続的に対応可能であるかどうかを考えていく必要があります。その場で言い分を言えばそれでいいわけではなく,話の整理や根拠などをできれば書面で出すことは求められます。平日日中に行われる裁判(問題点や言い分の整理,進行をしていく段階が多くを占めています)に出頭することへの負担を含め,そこに対応できるだけの事情があるかどうかが,ご自身で対応できるかどうか(そこにどこまでの負担感を感じるのかどうか)を考えるポイントになるように思います。