家具・家電製品は財産分与の対象になるのでしょうか?
家具・家電製品は無価値と評価されることが多い
財産分与に関するご相談を受ける際、比較的ご質問を受けるものの一つに、家財・家電製品についてどのように分けるのか、評価の仕方などといったものがあります。家財・家電製品の財産分与についてはこれまでに取り上げたことがありますが、ご質問を受けることが多いので改めて取り上げてみたいと思います。
離婚に伴う財産分与は夫婦が婚姻期間中に協力して掲載した財産を離婚に際して分け合うことをいいます。そうすると、結婚期間中に購入した家財・家電製品についても夫婦がお金を出し合っての購入であれば分与対象財産になるといえます。ただ、実際のところ家財・家電製品は一度購入して使用すると価格は下落しますので、よほど新品やアンティークのものといった特殊な価値があるものでない限り、財産分与の評価の上では無価値として扱うのが一般的です。
もっとも、ここ最近では家財・家電製品についてもリサイクルショップなどで引き取ってもらえるケースもありますので、こういった中古品買取業者に査定をしてもらうというのも一つかもしれません。そこで価値があるとされるものがあれば、財産分与のときに考慮を求めるというのもありえます。
ただ、筆者のこれまでの経験では、特に家具類についてはアンティークでないとむしろ処分に費用がかかることが多いように思います。特にお子様がいるご家庭では、学習机やベッドを購入したものの、転居先は狭くて持っていけないからということでこれらの家具類が自宅に残され、処分費用をどうするか、といったことが問題になることもままあります。
分与対象財産とそうでないものが混同しているケースが多いので注意
また、それぞれの洋服や身の回りのものについてはさほどどちらのものかどうかで対立するケースは多くないと思います(どちらのものかは比較的わかりやすいので)が、エアコン、テレビ、洗濯機といった比較的高額になりうる家電類は持ち出しの際に争いになることがあります。
分与対象財産かどうかは先に述べましたように、お金の出所による判断になるので、結婚後夫婦のいずれか、あるいは双方のお金で購入したのであれば分与対象財産になるのはこれまでに述べた通りです。
他方で結婚前の自分の家具・家電類を持ってきていた、あるいは親がくれた、購入の際にお金を出してくれたというのであれば、いわゆる特有財産とされることになります。ただ、厳密にはどうだったのかがよくわからなくなっている(記憶が曖昧であるし証拠もない)ことが多く、いざ持ち出す際にどちらが持っていくかでトラブルになることもあります。
一方的に持ち出されたとき・残されたものの処分費用がかかる場合は?
別居のとき、あるいはある程度離婚の条件がととのった頃に荷物のリストを作り、どちらが持ち出すか話し合いで決めて持って出るのは一番スムーズではあります。
ただ、実際には話し合いができない・または話し合いが付く前に一方的に持って出てしまうということもあり、この場合には前述のように家財・家電製品は価値がなく、評価が難しい(特に家電製品等を一方的に持って出られたときは、その後の評価の話をしても協力を得られる可能性が低い)事が多いので、お金で代わりに払ってもらうというわけにもいかず、結局のところ家電製品等がなくなってしまった側が生活が不便なのでやむなく買い直す、といったことが多いように思います。
持ち出したものを返せ、ということも考えられますが、返還を求めるにあたってはなにのどういったものか(たとえば家電製品であれば型番など)で特定をしないと裁判で返還を求めるのは困難であるため、家庭裁判所での調停でも同じように言われることがあるようです。実際にはそういった型番などを持ち出し前に控える・対象のものを写真で撮っているということはまれでしょうから、そうすると法的に返還を求めることは難しいことが多いです。
逆に、転居先ではいらない・入らないからと、つかわない古い家電類をそのままおいていく、大型家財をそのままにしていくという場合もあります。そのまま他方当事者が住むのであればそのままにしていてもよいのかもしれませんが、場合によりのこされた側もこのまま住宅クローンを支払うのがしんどい等の理由で自宅を手放すこともあります。このようなときには残された家具・家電類の処分費用をどうするかという話も出てきます。このあたりは他の財産分与の対象になるものがあるようであればその精算とあわせて行う、といったことも考えられます。