離婚調停の場面で,自宅などの評価が問題となった場合の評価額は何を規準とするのでしょうか?
評価の根拠となる資料とその位置づけとは?
結婚してから気づいた資産のうちでもご自宅など不動産は,基本的にあ大きな評価額になる一方で,処分をすぐできるとは限らないので,いくらで評価をするのが問題となることはありえます。特に不動産の取得を希望するものの,現金などがあまりない場合には,評価額を下げられないかという気がするところですが,実際そうなりうるのでしょうか?
不動産の評価額には毎年4月ころに来る固定資産税の通知書(納税の通知書とともに,課税標準額等の情報という評価額が記載されています。ここにある固定資産税の評価額(税額計算にはここでは詳しくは触れませんが,宅地について特に大きな減額がありますので,どこを見るは注意をしてく必要があります)がありますが,流通する可能性の大きな不動産では低くなる可能性もありえます。
このほか,個別の不動産業者の方に査定をお願いする(仲介を委託した場合の売り出しの参考ということで評価をしてくれます)という方法,公示価格などの評価指標で考える方法,不動産鑑定士の方にお願いして評価額を出すという方法があります。
このうち,査定については,査定の際の評価の取り方(取引事例の取り方その他)などによって,査定によって評価金額が異なる場合があります。この場合にどこで落ち着けるのかという話が出てきます。公の出している評価額とは言っても,固定資産税の評価額は場所によっては低すぎることや公示価格などもぴったりの場所につけられていないこともありえます。
一番信用性が高いと思われるのは,不動産鑑定士の方の鑑定評価額ですが,こちらは他の方法に比べて費用がかかります(費用自体は不動産鑑定士の方それぞれによって異なりうるところかと思います)。また,不動産鑑定評価基準に沿った評価方法でも,詳細の方法などによって信用性が変わる面もありますので,完ぺきではないという点も注意が必要です。ことに,一方の側が依頼した場合には,バイアスの可能性などもありうるので,家庭裁判所での手続きの場合に,裁判所を通じての鑑定の実施に比べると,評価の信用性を低くみられる可能性もありえます。
争いが特に大きい場合と費用負担
固定資産税の評価は,役所からの資料入手が名義人であれば容易ではありますが,高い金額での査定評価が出てきている場合には,金額面で争いが生じることはありえます。査定評価同士の場合でも同様のことはケースによってはありえます。個別に不動産鑑定評価を依頼してその鑑定評価書を出しても,対立が残る場合はありえます。
この場合に,家庭裁判所での調停手続きであれば,不動産鑑定を行う(鑑定を行う方を裁判所に選任してもらう)という方法もありえます。この場合には,評価をする方が裁判所に出した見積に沿って鑑定の費用を収めるよう求められることになります。この金額は個別に依頼するよりも高くなることもありえます。費用負担をどうするかも一つの問題で,双方が折半する場合の話し合いがつけば可能ですが,つかない場合にはいったんは申し出た側がb納付することになるでしょう。最終的な負担をどうするかは,その後も話がつかない場合には裁判所の判断で決まることになります(審判の中でという意味です)。
したがって,評価金額に差が大きく鑑定の申し出を裁判所にする場合(これは個別に鑑定評価を出されたものの,納得いかない場合を含みます)には,費用がかかることやいったん全額納付の可能性もあることを頭に入れておく必要があります。
家庭裁判所を通じた不動産鑑定の結果については,その評価の過程や方法などに問題がない限りは,その信用性が高く評価される可能性はあります。実際,問題があることはそうそうないと思いますが,仮に争おうと思う場合には,問題となる事項(単に気に入らないというだけでなく,評価方法としての問題点を合理的に指摘できる必要があります)があるかどうかとその評価額への影響を詰めておく必要が出てきます。ここでは弁護士や不動産鑑定の方など専門家に相談しながら関g萎えていく必要があるかもしれません。
いずれにしても,裁判所を通じて鑑定を行った倍の見通しと思われる事項やかかるだろう費用面も踏まえて,ケースによっては時間がかかるとその分婚姻費用の支払い期間が延びるなども踏まえて,ベストと思われる方向を考えていく必要があります。