よくある相談

裁判所以外で,離婚協議を間に入って進めてくれる機関はあるのでしょうか?

ADRというものがあります

 離婚の協議に間に入ってもらう制度としては,家庭裁判所の調停があります。令和6年の民法改正の際の国会の付帯決議などで,ADRの活用促進を目指すという記載がある等,民間の仲裁手続きである「ADR」の活用という話がありました。今後国の施策もあり,広がる可能性もありますので,少し触れておきます。

 離婚の話以外にも仲裁制度に基づく仲裁機関はあります。法律の要件を満たした仲裁制度の下での手続きで,離婚に向けた話し合いを進めることができます。この制度は,申立てを受けた側が同意をしないと使えませんので,相手が応じるかどうかの見極めが重要になっていきます。申立てられた側は,費用面(利用には費用が必要になることが多いと思われます)その他を踏まえて,応じるかどうかを考えることになるでしょう。

 この制度における間に立つ方がどういった方がなるのか・費用がどうなのかは,その制度運営をするところにより異なってきますので,事前に確認は必要です。また,裁判所における家事調停における調停委員がそうであるように,どちらかの味方でもない点は頭に入れておく必要があります。

 また,この制度で話がついた場合であっても,合意に基づき離婚というわけにはいきません。協議離婚を行う形あるいは家庭裁判所での離婚調停の申立てが必要になっていきます。家庭裁判所調査官の調査が必要と思われる事項や,親権問題や離婚をすること自体に大きな争いがある場合には使いにくい可能性があります。他方で,家事調停よりは迅速に話し合いの場を設けることができる可能性もあります。話し合いの話題を限定できる点もメリットとしてはありえます。費用面も考えて,活用をする意味があるのかどうかを決める必要があります。
 その場合には,親族などの方が間に入る形ではだめなのか・弁護士に協議離婚を依頼することがいいのかどうか・家庭裁判所での調停手続きを申立てるのがいいのか,メリットデメリット・事柄の性質を考えておく必要があるものと思われます。

令和6年の民法改正などを踏まえて活用について何が変わったのでしょうか?

令和6年に民法が改正され,仲裁に関する法律も近年改正されました。親権等に関し,令和8年から改正内容が施行予定です。その中で,親権者を決めずに離婚を行うことができる場合(家庭裁判所に親権者指定の手続きの申立てを行うことが前提)が設けられます。ADRを使う場合は,この制度改正に基づき,親権者を決めずに離婚をすることはできません。ADRの申立てをした場合は,ここでいう取り扱いをする場合に含まれていないためです。

 また,先ほど触れましたように,ADRを使っても基本は協議離婚あるいは調停離婚になります。要は離婚届などがないと離婚にはならないということです。調停を申し立てる場合には二度手間になるのかどうかという問題はケースによってはあるかもしれません。協議離婚の場合には,お金に関する支払いに関して等強制力を持たせることができるのかという問題があります。
 
 ADRの後で公正証書や家事調停を申し立てれば問題は起きません。法令における認証を受けたADR実施機関では,養育費等扶養に関するお金の支払いについては,合意書に対して,強制執行を行うことができます。ただし,執行決定というものを裁判所に申し立てて,得る必要があります。認証を得ていない機関でも可能になりうるところではありますが,ここでは細かくは触れません。

 ADRの手続きが今後どこまで広がるかは不明ですが,利用するかどうかは諸般考えて決める必要があります。
 

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。