相手方に裁判を起こしたいのですが、訴状など受け取らないときどういう流れになるのでしょうか。
相手方が書類を受け取れるところに送付が原則
〇裁判所で裁判をするにあたっては相手方が書類を受け取れるところに送ってもらうのが原則
相手方に離婚調停申立てをしたものの、話が付かない、あるいは当初から調停に来ない、といった場合は調停の成立は見込めないので、それでも離婚をしたいときは離婚裁判を起こすことになります。
裁判所には、まずは訴状といって、申立をする人のいい分(離婚の場合ですと、離婚と、希望する場合は慰謝料・財産分与をしてほしいなど)を法律構成した書面の提出をすることになります。離婚を求める訴状やそれに書かれた主張の裏付けとなる証拠類が相手方にきちんと交付(「送達」といいます。)され、相手方が受け取ったことを前提に裁判の手続きが進むことになります。特に、離婚裁判の場合は、離婚が認められると戸籍にも影響する、重大なものですから、裁判を行うにあたっても確実に訴状等の送達が必要になってきます。
そのため、まずは相手方の住所地に対して特別送達というかなり特殊な方法で訴状等書類が裁判所より送られることになります。送付にあたって相手の今の住所が分からないときは相手の最後の住所地の住民票を取り寄せて行うことになります。
相手方の住所が分からないが勤めている(勤めていた)ところが分かる・相手方の住所地に送ったが受け取らない場合、相手方の勤務先に送ってもらうことが出来ます。ただ、原則としては相手方の住所地にまずは送ることになっていますので、住所地について調査したけれどもどこか分からないという報告書が必要になることもあります。
相手方がそれでも受け取らない・再配達の連絡をしないまま放置している場合は、裁判所に送付書類一式が戻ってきますから、その場合、再度住所地に送付してもらうという手続きを取ることになります。これは「付郵便送達」といいますが、この手続きを取ると、相手方が書類を受け取らなくても送達された扱いになりますので、相手方が本当にその住所に住んでいるといえるのか、住所の調査をする必要があります(通常は最新の住民票の取り寄せによることになります)。その上で相手方がガスや電気、水道を使っているかどうか、洗濯物が干されているか、郵便ポストの郵便物の貯まり具合がどうか、近隣住民が相手方を目撃していないか聞き取りをするといった調査が必要になります。以前行ったものでは、(夏場であったため)エアコンから水が出ている、家の中に洗濯物が干されているのが見える、電気等メーターも動いており、住んでいる気配があるという報告書を写真とともに提出をしたことがあります。
一部の裁判所では、住所調査に必要な事項をまとめたものを準備しているところもあります。ホームページで公開されていますので、それを参考にするとよいでしょう。
また、最近の集合住宅は一般的にオートロックになっているケースが多く、カギを持っているというのでないと中に入ってライフラインの調査を行うことは難しいことが多いと思います。その場合は住んでいる人からの聞き取り、管理人がいるのであれば管理人の方からの聞き取り等になると思いますが、どこまで必要かは担当書記官に確認をしてからになると思います。
付郵便送達が認められると、裁判所から被告がいると思われる住所地に書類一式を発送することで、送達がされたと扱うことになります。ただ、そこまで至るのに上記のような調査などの手続きを踏むことになり、かなり時間がかかることが多いです。この時点までで訴状など提出から1か月以上になることがありますので、一度第1回期日を決めて送付されていても、取消すなどして再度の指定になる可能性もあります。
それでも相手方の居場所が分からないときは?
〇それでも相手方の居場所が分からない場合は?
調査をしたものの、明らかに相手方の居場所・住所はも抜けの殻になっていてどこにいるかが分からず、どこに勤めているかもわからない場合には、最終的には「公示送達」という方法を用いることになります。
これは、裁判所の掲示板に裁判が起こされているので、裁判所が保管している書類を取りに来るようにとの掲示を行うというものです。掲示から2週間経過で送達が有効とされます、
裁判所での掲示となると、相手方がその掲示をみることなくそのまま2週間が過ぎ、裁判手続きが開始され、相手方が裁判所に来ることがないまま判決となることが一般的です。判決という強い効力を持つ、しかも離婚という身分の変動が生じる重大な判断が相手方の関与なく出されるという制度ですので、住民票をたどっての調査、判明している最後の住所地に居住していないかの調査、相手方自宅周辺の関係者などへの調査を行った上で、それでも相手方の住所地が不明であるとの調査報告書の提出が必要になります。これについても以前行ったものでは、そもそも相手方の最後の住所地とされる場所にカーテンも含めた家具等一式が全くなく空き室になっている、ガスが止められている、電気メーターが止まっている、郵便物がポストにかなり前から溜まってあふれている、といった写真を撮影した上で報告書を提出して、公示送達が認められたことがあります。ただ、このように明らかに人が住んでいない状態であればよいですが、物を家に置いたまま所在不明になっているといった場合には、実際には住んでいないことを裏付ける調査が必要になるので、その分の手間がかかることになるでしょう。
ここまでの手続きを取るとなると、内容によってはさらに裁判での手続きを行う必要がある(たとえば慰謝料請求をしているのであれば、裁判を起こしている人に裁判所で話をしてもらう尋問手続き等)こともあるため、判決まで半年以上かかるものもあります。
とはいえ、話ができない・連絡が付かない状態のまま放置していると結局何も手続きが取れない・離婚できないまま期間が経過することになりますので、状況によってはこういった制度の活用を考えざるを得ない場合があるでしょう。

