交通事故に遭って受け取った保険金は財産分与の対象になるのでしょうか?
保険金は特有財産になるのでしょうか?
当たり前のことですが,交通事故に遭ってケガをした場合などは自分自身に被害(損害)が生じています。賠償請求は自分自身への損害に対するもので、こういった損害を補填するための保険金もそうした性質を持ちます。そのため,財産分与の対象ではない,夫婦共有財産・夫婦の生活に関係して築いた財産にあたらないのではないか、というのがここでの問題です。
一般に,交通事故で負った損害には,人身の場合には(つまりケガの関係)については,治療費などの費用・仕事を休んだことによる減収や後遺症という状況によって生じた減収分・ケガについての慰謝料という区分があるとされています。実際に交通事故の示談交渉等でも各区分に応じて積算をしてどこまでいえるのか、考えるケースが多いと思われます。
慰謝料(ケガをして通院や入院を余儀なくされたこと・後遺症が生じた場合の慰謝料)は,固有の損害と評価されますので,これが特有財産(財産分与の対象外となるもの)になるのは間違いありません。これに対して減収分(休業を余儀なくされることで生じたもの)は結婚中のものは夫婦の日常生活に関わるものになりますが、将来の減収分は必ずしも結婚期間に対応するわけではありません。結婚期間に応じたものは,財産分与の対象になります。実際にこうした考えに沿った裁判例もあるようです。
ただ,問題なのは,保険金に関する資料(特にどういう内訳であったのか等がわかるもの)がない場合には,ここでいう内訳がどうだったのかが分からないという問題が出てきます。内訳などは裁判で解決したのでない限り、示談交渉の結果で定まるものであり,話が付いた時の資料がないと正確には分からないという問題があります。そのため,時間が経過しているほど,問題が出てくる場合もありえます。
夫婦の生活口座に入金された場合にはどう考えればいいのでしょうか?
保険金も通常はどこかしらの指定した口座に振り込まれることが多いように思われます。その口座が他のお金の入金(給与など)や生活費の支出に充てられている場合に,その預金のうち保険金部分だけが特有財産になるのかという問題があります。特にある程度時間が経過しているとなると,今残っている残金(残高)のうちどこまでが保険金由来のものなのかが問題となっていきます。
こうした話は他の特有財産についても問題となります。たとえば,相続した遺産が入金され,他の収入や支出が繰り返されている場合も同様の話が出てきます。この場合には,どの部分が支出され・残高の金額が何に由来するのかはわからないものとして,全てが財産分与の対象となってしまう可能性があります。貢献割合をどう考えるのかという話は出てきます。
先ほどの保険金自体のどこまでが財産分与の対象になるのかという話とは別に,口座残高に残っている場合には,どこまでが財産分与の対象になるのかという意味で別の問題が出てくる可能性がありえます。

