よくある相談

養育費を取り決めるにあたって,成人までに予測される定年退職はどう扱われるのでしょうか?

基本は考慮されません

近年65歳定年へと移行している企業などが多く,定年退職の年齢は遅い年齢になっている傾向にあります。他方で,再婚の場合など子どもが生まれてその後残念ながら離婚の話が出た後に,子どもの成人(現在は18歳)など養育費の支払終わりの時期までに定年退職をしている可能性もケースによってはありえます。その場合に,大きく収入が落ちるにもかかわらず,大きな金額の養育費を支払うことはできないだろう・このことは取り決めの際に考慮されるのかは気になるところと思われます。

 結論から言えば,相手が同意をしない場合には,基本的には考慮されません。定年退職がいつになるかはそもそも制度変更もありはっきりしませんし,定年退職をするにしても再雇用その他によって収入が実際にどうなるかは同様にはっきりしないためです。現在の時点での取り決め(こちらは判決や審判でも同じ傾向にあるように思われます)であるため,将来のことは基本的には考慮されないという形になります。

 したがって,不安は残るところではありますが,考慮されない可能性がかなり高めであることを考えて,事後の対応などを考える必要があります。

事後の事情変化として,減額の申立てを考えることになります

 離婚時からの時間の経過によって,収入が増える(こちらは元夫婦ともに)こともありえますし,離婚時の年齢などによっては定年退職等による大きな減収の可能性もありえます。このほかに,子どもの大学進学などによる追加の費用の負担をどうするのかという話も出てきます。これらはいずれも離婚後の事情変更となりますので,養育費の増減額の請求の理由となる場合もあります。

 定年退職がいつになるかは今後の制度変更によりはっきりしませんし,その後再雇用になるのか・転職になるのか等によって,その後の収入状況はどうなるかわかりません。減収になる場合にはもちろん減額の理由となる可能性もあります。一方で,元妻側の収入状況や子ども自身にかかる費用(養育費の増額要因となる費用)がどこまで出るかによって,どうなるかは読めない面があります。減収要因がご自身に出た場合でも,元妻側の収入も減った場合には減額を妨げる要因になります。子どもが進学などによって標準算定方式で考慮されない費用がかかった場合には,追加での費用請求(養育費の増額原因となりうるもの)も出てきかねません。
 これらのバランスによって変わってくる可能性はあるところですが,減収によって支払いが難しい場合には,養育費の減額請求を考えるのは当然ありうる話です。その際には見通し等を立てておく必要があります。ご自身から減額の話をするケースのほかに,相手側から増額請求をされる場合もありえます。その場合も同じような話になってきますが,同様にして対応を考えておく必要が出てきます。

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