会社経営者の方の財産分与で問題になることはどういったことでしょうか?②
個人事業における事業用財産について
タイトルは「会社経営者」としていますが、個人事業主の場合財産分与についてどう考えればよいのか?というケースがありますので、便宜上こちらで個人事業をしているときの財産分与について取り上げます。
個人事業主の場合には、事業に使っている資産でも個人名義のまま(預金口座の場合は屋号付きのこともありえます)のため、基本的には財産分与対象基準時におけるすべての財産(借入も含めて)が分与対象となります。
具体的にはどのような物があたるかですが、所得税の確定申告書や貸借対照表に記載されているものが分与対象財産となりえます。ただ、償却資産としてパソコンなど、時価での評価額がしにくい(基本的には価値がないと思われるもの)やリース物件などは除き、それ以外のもので考えていくことになります。不動産取引を個人事業で行っている場合は、仕入れのときの価格と基準時のときの価格がずれていることがありますので、その場合は基準時時点での査定等をする必要があります。
事業についての営業権(のれん)が評価の対象になるかが問題になることもありますが、どのように評価をするかで対立することも考えられます。民法改正では財産分与を考慮するための要素として、取得または維持についての寄与度、職業や収入を考慮するとなっていますのでその中で考えていくこともありえます。
また、事業によっては借入がかなりの額を占めているといったこともありますので、事業用の資産関係とそれ以外の夫婦共有財産と分けて分与額を考えるということもありえます。
結婚後会社を設立した場合は?
これに対して、結婚当初は個人事業で行っていたが、その後会社設立をしたというケースもあります。この場合は会社の財産は夫婦の財産とは別のものとなりますので、財産分与の対象にはならないのが前提になります。
会社形態にしているものの、個人事業主から実質1人会社という場合でも、会社財産=分与対象財産とは当然になりません。ただ、個人の財産と会社の財産がごっちゃになっており区別ができないというときは財産分与の対象になることもありますが、個別の事案に応じての判断になってきます。
そのため、基本的には保有する株式をもって財産分与の対象とすることになります(夫婦双方保有していれば、双方の持っている株式が評価の対象となりますが、こういったケースの場合代表者側が買取を希望することが多いでしょう)。
この場合、会社形態であってもいわゆる閉鎖会社のことが一般的であるため、株式の評価をどのようにするかで争いになる事が考えられます。
株式の評価の仕方には類似業種と比較して行うもの、会社の純資産価額を基準に考えるものなど色々ありますが、裁判所で確立してこの方法によると決まっているわけではないので、個別の事情により評価の仕方を決めることになります。

