協議離婚時に取り決めた養育費の増額変更が認められる場合
協議離婚の際の取り決めの基準
協議離婚をする際には,インターネット上で見かける標準算定方式による取り決めをすることもできますが,必ずしも,その金額にしないといけないわけではありません。弁護士を代理人につけている場合には,こうした方式に基づく取り決めがなされることもままあると思われます。
ただ,離婚に至る事情や話し合いの経過その他の事情によっては,こうした基準によらず,自由に金額や終わりの時期を決めることができます。それは標準算定方式よりも低額の場合もあれば,高額になっている場合もありえます。
一度取り決めた金額が単に標準算定方式に基づく金額と異なるからというわけでは,当然に増額や減額を求めることはできません。一定の事情が事後に発生した場合には,増額や減額の話が出てくることもありえます。それは,取り決め時に前提としていた事情が変更することで,協議離婚時に決めた金額が不合理となるということになります。
前提となっていた事情(養育費の金額を決めた前提となる事情)がはっきりしていれば,それが事後に変更したのかどうか・変更によって取り決めた金額が不相当であるかどうかを考えることができますが,曖昧な場合にはそうした変更があったと言えるかどうか考えるのが難しい場合も出てくるかもしれません。
増額を求められた場合には,そうした事情があったかどうかや変更により,現状どうなっているか考えることになるでしょう。
増額請求について,最近の裁判例では?
協議離婚から時間が経過すれば,それなりに事情が変わってくることはありえます。その際に,取り決め時の前提がどうなっているかがはっきりしない(取り決め時の前提事情が曖昧な場合)場合であっても,一般に養育費を取り決める際に考慮される事情に変更が生じた場合には,変更の理由として考慮されることはありえます。
ここでは,金額などの前提となった事情は考えることなく,一般に養育費の金額を想定する際の事情(裁判所での手続きにおいては,標準算定方式が使われることが通常であるなどの点を踏まえて,この方式で考慮される事情)がどうかを考えることになります。
比較定期最近の裁判例(東京高裁令和6年11月21日決定,家庭の法と裁判57号50頁)はそうした判断から協議離婚時に取り決めた養育費の金額の変更を命じたものとして挙げておきます。このケースでも,協議離婚の後での変更した事情(負債の返済や就労状況の変動など4つの事情)によって,当初取り決めの養育費が不相当といえれば変更をすると判断しています。
こうした変更を踏まえて,標準算定方式に基づき,養育費金額を計算し,金額が変更するだけの事情があるとして増額を結論として命じています。このケースでは,先ほど触れた4つの変更事情が生じた時期も判断し,このケースでは家庭裁判所での手続き開始後(申立後)の時期に生じたとして,これら4つの事情変更が生じた申立後の時期以降から変更を命じています。
変更事情が生じたと考えて,裁判所での手続きに至ることが多いように思われます。ただ,調停やその後の審問手続きを含めて,事実関係を整理した際に,申立後に至って初めて変更の根拠となる事情変更が生じたとされることもありえます。その場合には,申立後の時期以降からの金額変更もありえます。
相手から変更申立を受けた際には,こうした事情も踏まえて,どのように対応するかを考える必要があります。

