相手方が離婚裁判に来ない場合でも離婚できますか?
相手方がどこに行ったか分からないときは?
離婚をしたいと思っても相手方が裁判に出てこない可能性が高い場合でも離婚ができるのでしょうか。
日本の法制度では、離婚をしようと思ったとき、まずは離婚調停を起こすところから始める必要がありますが、調停の段階で相手方が出てこないときは、裁判にしても出てこない可能性があります。
こういった場合、➀そもそも相手方がどこにいるか分からない場合と、➁相手方の居場所はわかる(別居前の自宅に引き続き住んでいる場合や実家にいるなど)が、裁判に出てこないという場合に大きく分かれます。
➀、➁のいずれとも、まずは相手方の居場所がどこかの調査が必要になります。➀の場合は、相手方の最後分かっている住所にいないことについて調査をします。電気、ガス、水道などの使用状況や、出入りに関する調査(マンションに居住している場合は、管理人や近所の人に出入りについての聞き取りをする)を行う必要があります。最後の住所地にいないことが調査により明らかになったときには、公示送達といって離婚裁判の訴状の送り先がわからないとき、裁判所で書類がいつでも渡せる旨を裁判所の掲示板に掲示し、2週間経過すると訴状が送られたものと扱ってもらえることになります。
もっとも、この場合でも法律上定められた離婚原因があるとされないと離婚が認められないため、離婚原因があることが分かる証拠類を準備・提出することが必要になります。相手方が所在不明になって3年以上になる場合には、離婚原因のうち、民法770条1項3号にいう、「配偶者の生死が3年以上明らかでないとき」にあたるといえます。ただ、所在不明がそこまでにならない場合でも、相手方の金銭的援助がないことで生活が成り立たない状況であれば「悪意で遺棄されたとき」(同2号)にあたりえます。また、相手方が所在不明になるまでの夫婦生活からして結婚生活が破綻しているといえる事情があれば同4号により婚姻を継続しがたい重大な事由があるとされることもあるでしょう。
このあたりは、証拠資料のみから明らかでないときは、離婚裁判を起こした人から裁判所が事情を聴く(尋問)の機会を設けることもあります。
また、それ以外に財産分与や慰謝料の請求がある場合、客観的な証拠が十分でないときにも尋問を行います。
もっとも、相手方がどこにいるかわからないときには、裁判所の判断が出たあとどうやって判決の内容を実現するか(財産の調査や差押など)も問題になります。
相手方の居場所は分かるが来ないときは?
次に、➁相手方の居場所はわかる(別居前の自宅に引き続き住んでいる場合や実家にいるなど)が、裁判に出てこないという場合はどうでしょうか?
この場合も前述のとおり、相手方の居場所について、出入りが分かる調査を行う必要があります。調査内容は前述と同じです。ただ、この場合は勤め先が分かるときは勤め先への書類送付も可能ですので、居場所の調査までしなくてよいこともあります。
相手方が引き続き把握しているところに住んでいるのが調査で確認できれば、付郵便送達といって、郵便を送付した時点で書類が届いたとみなされることになります。以後は受取の確認ができなくても、書類が届けば確認できたはずなのに反応がないということになりますので、そのまま手続きが進むことになります。
なお、このときも離婚裁判が出されるには、離婚理由があるかどうかが問題になりますので、前述と同じく、法律で定められている離婚理由を満たすといえるだけの裏付け証拠の提出が必要になってきます。その他、財産分与や慰謝料が問題になるときも、➀と同じく、必要があれば尋問が行われることもあります。

