同居したままでも離婚調停や離婚裁判は申し立てることはできるのでしょうか?
離婚調停・離婚裁判の申立てなどは可能です
離婚調停や離婚裁判自体を申し立てる(裁判を起こす)こと自体は,法令の制限以外には特に制限はありません。そのため,基本は離婚調停はいつでも申立ては可能ですし,離婚調停が不成立になっていれば離婚裁判自体起こすこともあります。そのため,夫婦で同居をしたままでもこれらの調停や裁判を起こすことは可能です。同居夫婦の間で離婚を考える場合は多くのケースでは別居をしていると思いますが,最悪同居をしたままでも家庭裁判所での手続きを使うことは可能です。
お互いに話し合いができないけれども話し合いをしたいという場合には,離婚調停の申立てをすることは可能です。同様に,同居をしたままであっても,法律で定める離婚理由があると考える(見通しがある)場合には,離婚裁判を起こすことは可能です。
ただ,実際に申立てなどをするかどうかは後で触れる見通しやトラブルリスクも考えたうえで決めたほうがいいように思います。
トラブルの起こる可能性や離婚原因が認められない場合もありえます
ご当人同士で話し合いができない背景には,原因や状況は様々ありうるところです。そこでは,暴力その他が起きてしまう可能性(相手から暴力などを受けるケースもあれば,喧嘩の際に思わず手をあげることもありえますので,加害になるリスクもありえます)があります。トラブル次第によっては,加害の場合・被害の場合どちらであれマイナスの状況に陥る可能性もあります。その他,心身の負担が重い場合もありえます。ケースによってはそこまでの心配はないということもあるかもしれません。
離婚をするかどうかで話がつかない場合には,離婚調停でも話し合いがつかない可能性があります。単に条件面が折り合わないだけなのか・そもそも感情面も含めて離婚自体に拒否的な相手方の場合もありえます。後者の場合には離婚調停でも話がつかないこともありえますので,離婚裁判までを視野に入れる必要があります。性格の不一致以外に,不貞行為があった等法定の離婚理由がある場合にはその事実関係をめぐって争いがある(不貞行為の有無等)等様々あります。調停の段階ではその後も見据えて言い分や証拠をすべて出さない場合もあります。
証拠などから見て見通しが微妙なケースや性格の不一致を主張する場合には,同居している場合には目に見えた離婚理由(最悪,婚姻を継続しがたいといえるだけの事情を端的に示す事実関係)があるとは言いにくい場合も出てくるかもしれません。ここは,これまでの経緯やその根拠となる事情や証拠等を含めて,見通しを立てておく必要があります。
制度的には申立てなどはできるにしても,負担やリスク(トラブルの可能性や今後仮に裁判まで至った際の見通し)も頭に入れたうえで,対応を決めておく必要があります。