養育費が当初取り決めた期間支払った後で,追加で支払いを求められた場合どうすればいいのでしょうか?
事情変更がある場合の追加支払いの可能性はありえます
離婚時の養育費に関する取り決めの中に,「病気や進学などによって特別な事情がある場合には,その負担について別途協議をする」という趣旨(細かな文言は決め方によって異なります)の文言が入ることがあります。この文言自体では,追加の支払いが生じることの確定はしませんが,話し合い自体は行うという程度のものです。
この内容がない場合であっても,特別な事情が事後に出た場合には,話し合いを相手は求めることができます。この場合に応じないと,相手が家庭裁判所に負担を求める調停(養育費の負担を求めるもの等)を申し立てる可能性があります。子どもが既に成人に達している場合には,扶養の負担請求になることもありますが,感情面はともかく,実態はあまり変わらないように思います。
養育費の支払いに関する取り決めは,支払い終わりの時期も明確にしているのが通常です。ただ,例えば,20歳に達する日の属する月(3月生まれであれば,3月等)と取り決めをしている場合,大学への進学その他特別な事情が生じたことを理由とした負担を求められることもありえます。一度取り決めた内容が終わったのだから当然に終わりかというと,事情変更が生じた場合には追加負担はありえますので,無視をしている場合には調停や審判の手続きへ移る可能性もあります。
なお,先ほどの協議に関する条項は,あくまでも話し合いをするという意味合いのものですから,この内容を離婚時に設けたからといって,当然に負担が決まるわけではありません。あくまでも,追加負担をするほどの事情があるのかどうかや内容を吟味できる形になります。
追加負担が生じる場合とは?
離婚時子どもが高校生である場合など,大学進学を予想していた場合等には,追加負担の可能性が出てきます。この追加負担は先ほど触れた養育費の支払い終わりを20歳までとする内容以外にも,「22歳になった後の最初の3月まで」(要は通常は大学卒業相当の年齢まで)という内容である場合にも追加の可能性はありえます。
その内容としてありうるのは,大学進学の際の学費,場合によっては下宿に伴う負担についてもありえます。奨学金も借りる形のタイプは収入ではない(ここでは子どもの)ので,そう簡単には考慮されません。アルバイトについても,その内容によっては考慮されない可能性があります。既に負担している養育費分は,子どもに対する負担として考慮されますが(追加の負担がその分減る),必ずゼロになるわけではありません。
あくまでも,子どもが生計を営めないといえるだけの事情があることが前提となりますので,学生が直ちに生計を営める場合には,その収入如何では,負担の問題は出てこないことになります。ここは,大学の学費負担をするケースなのかを含め,ケースごとの事情によりますし,離婚をするときの子どもの年齢にもよります。
学費以外であっても,例えば,遠方に進学する場合に下宿費用等が生じるときには,ここについても一定程度は学費と同じく,収入に応じた負担(こちらは,離婚時に定額で負担を決めていない場合には,進学などした時点での元夫婦のお互いの収入により決まります)になります。
何でもかんでも,追加での負担に応じる理由はないのですが,学費などについてはその可能性があります。