よくある相談

面会交流(親子交流)の方法が直接的なものか間接的なものか問題になった際に,どういった事情がポイントになるのでしょうか?

考慮ポイントとなりうる事情

 最近の家庭裁判所の運用では,ニュートラルフラットな立場から,双方の言い分や背景事情より考えていくものとされています(詳細は家庭の法と裁判26号・129頁以下など)。あくまでも,家庭裁判所での面会交流の調停や審判の手続きを前提にしたものとなっていますが,対立が大きい場合(そこには感情的な対立を含みます)には,こうした手続きでの解決を考えることとなるケースもあるので,この話を触れておきます。

 親同士の安全に関する状況や子ども自身の状況,親と子どもとの関係(親はそれぞれが子どもとどういう状況であったのか・関係性)・親同士の関係性・それぞれを取り巻く環境等が基本となる事情になります。もちろん,これは言い分として出すもの以外に,家庭裁判所調査官の調査で聞き取りなどが行われる形になります。

 言い分や対立点・背景事情などを裁判所側で把握し,双方と共有し,働きかけを行うなどとされています。

 家庭裁判所での手続では,相手が交流に否定的である場合は,交流(特に直接的な交流)が原則ではないとされていますし,筆者の経験的なものでもそのように思います。その中で,裁判所の手続きにおいて,ご自身の把握している事情や当然と考えている事情と,ポイントとされる点(裁判所サイドで重視している事情や対立点)は必ずしも一致していないことがありうる点には留意が必要でしょう。

 親同士の対立が大きく不信感が大きな場合や,子どもに対する面前DVを含む振る舞いに問題があること・子ども自身が拒否的な態度であることは,関s熱的なやり取りだけでなく,交流そのものの実施について大きく問題になることもありえます。
 ただ,比較的最近の裁判例(東京高裁令和5年11月30日決定(家庭の法と裁判52号・82頁以下)では,交流方法が直接交流か間接交流か(交流自体に同居親が消極的であった)等が問題となったケースで,消極的な方向の要素や積極的に考える要素について慎重に検討すべきと判断しています。詳細はここでは触れませんが,1審で消極的な要素を認定して間接交流のみとしたケースについて,直接的な交流の試行的な実施も踏まえて慎重に検討すべきと判断をしています。
 家庭裁判所での試行的な交流の結果は相応に大きな意味を持ちえますが,こうした点の実施などを踏まえて考えるということで,単に消極的な要素が一部あるから,即間接交流のみ等というわけではないということまでは言えそうです。ただ,簡単に直接交流ができるわけでもないので,子どもへの負担その他試行交流ができたならばその状況・その他をよく考えていく必要があるでしょう。

直接交流といっても,自由に何でもできるというわけでもありません

 直接交流といっても,子どもの年齢その他の事情によって自由にいつでも会えるわけでは必ずしもない場合が出てきます。特に弁護士相談や家庭裁判所での手続きを考えるようなケースでは,親双方の対立が大きなケース(これは必ずしも相手の言い分が正しいことを意味するわけではありません)は相応にありますから,なおさらです。

 第三者機関の立ち合いが必要になるケース(お互いにやり取りができないだけでなく,受け渡しや連れ去りの危険性などがある場合)・その他実施に様々な工夫が必要なケースも出てきます。ご自身の場合に対立点やこれまでの事情・お子様の状況・ご自身の心情や重視点を踏まえて,どういった実施がいいかを考えていく必要があります。その際は裁判所サイドの重視点が何であるのか等を弁護士に確認をする・アドバイスを受けるなどして考えていくことが対応方法の一つとなりうるでしょう。

 

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