よくある相談

離婚時に単独親権で取り決めたものを共同親権に変更することはできるのでしょうか?

親権者変更の手続きによることになります

 令和6年に民法などの一部が改正され,令和8年のある時期から,離婚時に共同親権となる場合も出てきます(選択的な共同親権といえます)。現在(令和7年10月時点)の段階で,どういった場合に共同親権になるのか・今の制度では離婚時に単独親権であるものを改正法施行後に,共同親権へと変更されるのはどういう場合なのか,必ずしも明確ではない面があります。あくまでも,現時点で各文献などから言えそうな事項について,触れていきます。

 まず,改正法施行までは離婚時に夫婦どちらかのみが子どもの親権者となります。家庭裁判所での調停以外には特に,夫婦の話し合いということで周りの方の影響などを受ける可能性もあります。単独親権のうちの親権者の変更のほか,単独親権から共同親権への変更,共同親権から単独の親権への変更も親権者の変更の制度によって対応をすることになります。

 法改正により,これまでのように,親権者を定めた際の事情(協議事項や状況等)を考慮される場合があることが明確にされました。これまでの制度では,ここは定められていませんでした。離婚時に裁判所の手続きを使っていた場合には,裁判所サイドの関わりもあるので協議の状況の問題点はそう簡単には考慮されないものと思われます。ただ,事情の変更は改正の前後を通じて問題にはなりえます。

当然に変更になるわけでもありません

 改正法の施行前ではありますが,現時点では施行までそこまで時間がないので,共同親権とはどのようなものなのか(どういった権限や責任を負うのか)・改正後における必ず単独親権となることが明確な場合なのかなどを考慮して,親権者を定める場合もあるかと思います。これに対して,法改正よりも前の離婚については,少なくとも離婚後は必ず単独親権になるということもあり,共同親権のことを想定して親権者を定めたわけではないことが普通と思われます。

 単独親権から共同親権へと変更するかどうかについては,離婚時で想定していた事情が問題になることもありえます。今述べたように,取り決め時(離婚時)の考慮事情は影響することがありますので,離婚した時期とその際の協議の状況は影響をする場合もありえます。

 改正を見据えて,とりあえず元配偶者(元妻)に同意書をもらっておくことが何かしら影響をするのかという問題はありえます。ただ,あくまでも考慮要素の一つにすぎませんし,同意書を書いた際の協議状況等も影響するところです。そして,共同親権においては,親同士の協力や連絡なども必要になること・子どもとのかかわりが大きくなることから,子どもとの離婚後の関わり合いや一定程度元配偶者側と連絡などが行えるのか等の事情も問題になっていきます。
 そのため,とりあえず一時同意をしていた等の事情によって,当然に共同親権へと変更ができるとは限らないと想定されることには注意が必要なように思われます。

 今触れたように,これまでの事情や現状,その他の事情によって影響を受けることになります。合意の有無やその際の状況等が争いになった場合には,おそらく家庭裁判所での審判へと至ることも相応にあるものと想定できます。その際には様々な事情が考慮されるので,合意書を得たから当然に変更というわけにはならないと思われます。もちろん,お互い合意をしている場合には,調停手続きで簡単に話がつくこともありえます。あくまでも,状況によりけりですので,見通し(今後の改正法施行後の見通しなども見据えて)を考えておく必要があります。

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