財産分与において,負債はどう扱われるのでしょうか?①
結婚中にできた負債の扱いは?
離婚におけるお金の問題はプラスの財産の問題だけでなく,マイナスのもの(負債)もあります。負債が大半であるケースもあれば,プラスのものとマイナスのものがある場合,住宅ローンの方が住宅の評価額よりも大きな場合など様々ありえます。
一般に,財産分与は全体としてプラスに財産がなる場合の話ですから,負債しかないようなケースでは負担割合を決めるのは財産分与の手続き(特に家庭裁判所での審判という裁判官が決める手続き)では決めることができません。調停を含めた話し合いで折り合いが付きそうであれば,話し合いで解決することも可能です。ただ,その場合には債権者に対する支払いを誰が行うのか等の取り決めを行う必要が出てきます。
住宅と住宅ローン(オーバーローンの場合の扱いは他のコラムでも触れているところです)については別のコラムでも改めて触れます。
負債は結婚前に負っていたものや結婚後に教育ローンや生活費といった生活にかかわる支出に原因があるもの,住宅ローンや車のローン・気づいたら一方が浪費などを理由に借金を負っていた場合など,様々な原因が考えられます。そうした負債の違いに応じて,異なる扱いがされるのかという問題はあります。もちろん,話し合いによって自由に解決することは可能ですが,問題になった場合にどうなるのかという話があります。
借金の原因などにより扱いが異なるのでしょうか?
上で触れた負債のうち,結婚前の個人的な負債は基本は財産分与で考慮すべき事項ではありません。もっとも,結婚後の収入によって支払いをした場合には,その支払い額分で本来は財産を築けたはずだという考えをすることも可能です。実際に,そうした対応も可能だとは思いますが,否定的な見解も存在します。そのため,必ずしも,支払額が考慮されるわけではないように思われます。
同じようなものについて,夫婦のうちの一方が浪費などによって他方が知らない負債がある場合もありえます。信頼関係の破壊につながり離婚原因の一つになりえますが,お金の負担をどうするかも問題とはなりえます。これらは,衡平の観点からも夫婦の他方に負担をさせる理由に乏しいという点もあり,基本は考慮されない形になります。
これに対して,教育ローンや生活費に充てるためのローン、日常生活上の買い物のためのお金(クレジット・ショッピング)等の場合には,婚姻生活を営むためのものとなります。離婚前の生活費(婚姻費用)においても考慮されるものですし,負担はされるべきものです。問題は通常財産分与で言われるような半分ずつの負担割合で(要は半額ずつの負担)清算されるかどうかです。婚姻費用分担においては,家庭裁判所での標準算定方式では双方の収入比を基準としていることから,同じく収入に応じての負担と考える見解もあります。財産分与だから半分というわけでもないという点には注意が必要でしょう。
このほか,自動車ローンや住宅ローンといった,資産形成のための負債もありえます。これらのローン金額は財産分与で家庭裁判所での手続きでは婚姻関係財産一覧表の中で考慮されることとなります。住宅をどう清算するのかという方法とともにローンをどうするのかという問題もあります。また,ローン金額の方が住宅などを上回る場合にローン負担をどうするのか(売却清算をした場合にはローンのみが残ることとなります)という問題が出てきます。この場合の取り扱いについては難しい問題もありますので,別のコラムで触れます。
令和8年4月からの改正法の施行により,清算における1/2ルールの明確化や様々な考慮要素の明示がされましたが,上記の点は変わらないように思われます。

