よくある相談

財産分与にあたって,相手に退去・利用権の設定を求めることはできるのでしょうか?

話し合いの中では可能です

離婚の際の自宅不動産をどうするかについては,売却をする・お金を支払って所有を続ける,のほかにローンは支払って相手に所有権を渡す・一定の時期まで相手を住まわせるなど,複数の解決方法がありえます。実際にどの方法を選ぶかについては,事情によって異なって来うるでしょうから,どの方法が正解とは言えない面はあります。

 話し合い解決による場合は,上で述べた様々な方法はどれも取ることは一定程度可能となります。ただ,決めた後はなかなか変更ができませんので,決める際にはそれでいいのかを慎重に考える必要があります。自らがローンを払うから権利取得をする場合には,仮に妻側が家に住んでいれば退去を求めたいというのもありうるかと思われます。その場合には退去の取り決めをしておくことが重要です。協議離婚の場合には,公正証書であっても,退去しない場合にいきなり強制執行を出来るわけではない点には注意が必要です。強制執行をする場合も費用がかかることから,事前に引っ越し費用その他についての調整はきちんとしておいた方が無難であると思われます。

 利用権自体は合意によって設定をすることはできます。その場合に,利用権の内容をどうするかはお互いの話し合いによります。単に無償居住になった場合には,後に対立し退去の問題が起きた場面で,利用期限や目的との関係で簡単に利用権を終了させ退去へとつながらない場合もあり得ます。期限などはきちんと定めておいた方が後のトラブルを防ぐことができるでしょう。

裁判所の判断の際にはどうなるのでしょうか?

 協議で話がつかない場合は,家庭裁判所での調停で解決をするかが問題となります。ここでも解決をしない場合は,離婚裁判あるいは財産分与の審判での解決(裁判官による判断)が図られることになります。

 この場合に,夫婦のうち一方が自宅の権利を取得するならば,今住んでいる側(取得をしない側)は退去を求められることがあり得ます。これは,裁判所の判断でそのように命じられることもあるというものです。そのため,ケースによっては自宅からの退去を求められている側(財産分与によって取得をしない側)は,強制的に自宅からの退去を求められることもありえます。それなりに,事前に和解協議の話が出ることは多いと思いますので,こうした見通しがある場合には,退去費用の調整などをして解決を図る方がいい場合もありえます。

 利用権の設定についても,裁判所の判断で設定をされるとした裁判例は存在します。自宅を例にとった場合に問題となるのは,無償かどうかという話です。有償の場合には,仮に自宅を売買しても権利主張ができるほど強力なものとなります。他方で,家賃問題が出てきます。無償の場合には,毎月のお金の問題は出ないものの,売買の際に譲り受けた方に対して権利主張できないという問題が出てきます。相手に対する信頼などが関係する問題にもなっていきますが,裁判官判断の場合には諸般事情を考慮するとはいえ,あくまでもコントロールできない裁判官の判断になってくる点は念頭に置く必要があります。
 自宅の敷地が相続した土地で建物のみローンを組んで購入して財産分与の対象となる場合であっても,利用権の設定を命じた裁判例が存在します。反対の見解もあるものの,こうしたケースではトラブルを残さないようにするためにもローンの負担や誰が住むのか・権利を移すのか等をきちんと解決をしておく必要があります。

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