妻に生活費(婚姻費用)を払いたくありません。勤務の仕事を辞めれば,払わなくても済むものなのでしょうか?
仕事をしなくなったからといって,婚姻費用が当然に少なくはならない
ご質問の話は,結論から言えば,非常にリスクの伴う話ですから,安易に退職するのは避けた方がいいでしょう。
その理由は2点考えられます。
一つ目は,仕事をしなくなったからといって,婚姻費用が当然に少なくなるとは限らないという点です。婚姻費用(生活費)の算定では,支払い義務を負う方(夫側の例が多いように思われます)の収入を念頭に考えていく面はあります。ここからは,収入が少なくなれば婚姻費用(生活費)も少なくなるのでは,という考えが出てこなくもありません。
しかし,働けるにもかかわらず働かないという選択をしている場合に,収入がないという考慮はそう簡単にはされません。これは,婚姻費用(生活費)をもらう側(妻側が多いでしょう)にも当てはまります。先ほどの話に戻せば,どの程度の収入があるという前提になるかはケースごとにの事情によるところはあります。とはいえ,統計データでの平均値・それまでの稼働収入があることを前提にした計算がなされる可能性はありますので,リスクがあります。
結果として,全く退職などをしたことで金額が減らない可能性もありえます。
次に二つ目は,一つ目を踏まえてという点ですが,退職などでの減収リスクを負うという点です。要は,金額負担はそうは減らないのに,お金が入ってこなくなり,生活が成り立つかどうかという問題が出てきかねません。
重要なのは,問題になっている場面で,最終的な解決をどうするかという話
以下では,離婚には夫側もそうは争うわけではないということが前提になります。生活費(婚姻費用)の負担を負いたくない理由は様々考えられるところです。その理由が離婚の条件面などの話である場合に,話し合いがつかない(離婚に至らない)ことで話が長期化する(金銭面の負担が大きくなる)ということである場合には,今後の生活費(婚姻費用)の支払いが継続することによる負担の継続と話を早くつける(これは内容によるでしょう)ことのメリット・デメリット面をよく比較した方がいいでしょう。
とかく,感情的な対立になりやすいところではありますが,最終的な解決を図ることで負担の継続が続かないというのであれば,とりあえずの生活費負担(婚姻費用)のことよりも,最終解決をどうするかを考えた方が意義が大きくなるケースがあります。
見通しなどは弁護士に相談をして考えていくのも一つの方法でしょう。