よくある相談

子供の養育費として,大学卒業までを請求されています。実際応じる義務はあるのでしょうか?

養育費の支払い義務をおうのはいつまで?

 養育費は,子供を監護養育しない方の親が子供への扶養義務として負うものと考えられています。ご自身が子供の親権を持たない場合には,取り決めがあればその内容ない場合には家庭裁判所での解決であれば収入をベースに金額といつまでの支払いかを取り決めて,支払いをすることになります。終わりがいつまでかは重要な話になりますが,扶養する必要がある期間(子供が未成熟な期間)まで支払う必要が出てきます。

 この期間が子供の成人(この記事を記載した2,019年9月時点では20歳で今後18歳に改正されます)までと考えられています。今後18歳の誕生日までなのか・高校卒業(18歳の後に最初に来る3月)までなのか・20歳までなのかといった問題があります。その一方で,妻側が子供の親権者になる場合には子供が大学を卒業するまでという要求がなされることがあります。ここまでを未成熟で扶養を必要とするのかというのがここでの問題です。

   ちなみに,2019年12月に公表された養育費などに関する司法研修所の研究成果の中で,成人年齢の変更後も原則は20歳までとするべきという考えが示されており,今後の家庭裁判所での判断などに影響があるものと考えられます。

 

 ちなみに,大学卒業というのが何歳までなのかという問題がありますが,22歳に子供が鳴った後の最初の3月までと捉えることが多いですけれども,もちろんほかの考え方も可能ではあります。

 

 ここでの話は子供に大きな持病などがあり成人になっても自活ができない,そういう意味での未成熟状況ではないかという点は考慮していません。この話は別のコラムで触れたいと思います。

子供が大学卒業まで養育費の支払い義務を負う場合

 子供が成人した後の大学卒業までの養育に関するお金の負担には,離婚時の養育費負担の場合の他に,子供自身から成人後に扶養料の請求ということでの請求があります。離婚時の話は前者のみですが,離婚時において養育費の負担の話がつけば後での負担がおよそありえないわけではない点には注意が必要です。ここでの負担理由はいずれもこうした場合に子供が自活できないという意味での未成熟であるという点です。

 また,特に20歳を超えた子供について,いわゆる算定表や算定式で決めた金額の負担を必要とするのか・生活費や学費のうち一定割合にするのかという,どの程度の負担を必要とするのかという問題があります。これは,父親が親権者にならない場合でかつ費用の負担義務があるとされる場合でも,どのような負担の仕方になるのかという問題です。

 

 ここで,大学卒業まで負担をしてほしいという話の根拠としては大学進学率が大きく上昇したという話の他に現に大学の進学が予定されている,実際に進学していて自活ができず扶養の必要性があるというものです。ここでは,子供自身が既に大学などに進学している場合やそれが具体的に見こされている高校生といった年齢の場合と子供が幼少期の場合で話が変わってくる可能性があります。

 大学に進学していて実際に扶養の必要性がある場合やそこが見込まれている等の事情があれば,将来の進学見越してそこまでの負担が正当化される場合はありえます。既に大学に進学している場合や子供が高校生で大学進学を希望し,ご自身(父)が進学を希望あるいは容認している場合や経済的な状況や生活状況・親の学歴(大卒か,高卒かなど)が該当しえます。実際にどうなるのかは,ケースごとでの事情がどうかを整理していく必要があります。

 

 

子供が大学卒業までの養育費の支払い義務を負わない場合

 これに対して,子供が幼少期で大学に進学するかどうか不明確である(意向も示していない)・ご自身(父側)も特に進学を求めているわけでもない場合には,進学するかどうかは現時点(離婚をして養育費を決める時点)でははっきりしません。この場合も今述べたこの年齢や子の意向や父の意向などの他に,生活状況や経済状況・親の学歴も考慮して,進学の蓋然性などを考えていきます。

 結果として,子供が進学するかどうかは分からない場合には,離婚時の養育費については,大学卒業までという結論にならない可能性があります。あくまでも,最終的に裁判所の判断に至る場合の話ですが,話し合いで決める際にも一つの参考にはなります。もちろん,予め大学卒業まで負担するという意向を持たれて合意をすることも可能ですが,こうした場合は通常は養育費をいつまで支払うのかという意味では問題が起きないでしょう。

 

 結論として,負う義務があるかどうかはここまでの話を踏まえたケースごとの事情を踏まえて考えることにはなります。ただし,先ほども触れましたが,ここでの離婚時には養育費の終わりを大学進学を前提にしなくてもいいというのは,仮に将来大学に進学する場合には別途扶養料の請求をすることが可能だからという話が前提となっています。

 言い換えると,離婚時に合意をしていないから,実際に子供が大学進学をする際に全く何の負担もないということには必ずしもならない点には注意が必要です。こうした扶養料の請求がある場合には,その時点での扶養の必要性やどの範囲(金額まで)まで認めるべきなのかといった点が問題になる可能性があります。

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