よくある相談

養育費の合意はしたものの公正証書がない場合に差押えはされるのでしょうか?令和8年4月以降はどうなるのでしょうか?

裁判所の手続きを経て差押えをされる可能性と令和8年4月以降の変更点

 離婚時に養育費の取り決めをしていない場合にはその後家庭裁判所での調停を申し立てて取り決めをする方法があります。他方,口頭あるいは何かしらの書類で取り決めをすることもあるでしょうし,公証人役場で公正証書を作成しておくこともありうるでしょう。
 弁護士など専門家が関与している場合には離婚時に公正証書を作成していることが多いものと思われますが,そうではない合意がある場合にその内容通り支払いをしない場合に給料や財産の差押えを受けることがあるのでしょうか?

 結論から言えば,裁判所で支払いを命じる判断を得る(裁判で話し合い解決をす)⇒差押えを行うということで裁判所で必要となる手続きは2段階になります。合意をしたのかどうかが争いになる場合には,他の裁判と同じく誰が署名したのか等が問題になることもあるかもしれません。ただ,ここが争いにくい場合には請求通りの内容の支払いを命じられる可能性があります。口頭の場合には実際に合意がなされたのか不明なことも多いとは思います。

 仮に実際は合意をしているケースであって金額の変更を求めるならば,その裁判の手続き内で話し合いを行うか事情変更となる事情がある場合には別途家庭裁判所に減額の調停の申し立てを考えることになるでしょう。

 令和8年3月までは,この流れでよかったのですが,法改正と志向により,令和8年4月以降は変化が生じます。それは,子どもの養育費のうち一定範囲(法務省令では一か月・一人8万円)について,先取特権と呼ばれる担保権としての回収が可能となります。この場合には,担保権があることを示す書類(公正証書でなくても,離婚協議書等で子どもがいること・養育費の金額がわかるもの)があれば,差押えを受ける可能性があります。この担保権は,優先回収を図ることができる権利であるので,子ども一人当たり月8万円の範囲内であれば,注意が必要です。
 

家庭裁判所での合意通りの履行を求めることは可能でしょうか?

 元妻側から一定額の支払いを求められた場合に,その後裁判所の手続きに至るのは通常支払いについてトラブルが存在するものと思われます。この場合に,合意に基づいた支払いを家庭裁判所の調停で申し立てられた場合に,どう対応をするべきでしょうか?

 合意が存在しないということで対応しそのことを前提に話が進むならば,養育費を取り決める調停が進んでいくことになります。通常はお互いのその時点での収入額をベースに話が進んでいくことになります。そのため,当初の合意がそれで取り決めるよりも有利ならば,そもそも無理に争う意味が低くなることもありえます。金額面は争うことがないものの支払いが難しい状況(金銭面の状況その他)にある場合に,支払について話がまとまらない場合には手続き的には審判に進むことになりますが,実際に審判を裁判官が家庭裁判所の手続きで出すことができるのかという問題があります。
 一般にこの場合でも合意にこだわらず家庭裁判所での審判で合意と異なる判断もできると考えられていますが,合意にこだわっての判断を相手が求めている場合には地方裁判所での手続きで支払いを命じるという話になります。ここは支払いを求められた側がどうかという話ではありませんが,一つ頭に置いておいても損はない話かと思われます。合意をしたという内容が取り決めよりもかなり不利な内容(支払うべき金額が大きなケース)であって,実際に合意をしたと言えない場合には争うことも選択肢にはなります。この場合には先ほどのとおり調停が進んでいきます。ここは先ほど触れたとおりです。

 このほか,令和8年4月以降からは,法定養育費(子供一人当たり月2万円)の支払い義務が原則出てくるため(家庭裁判所での手続きでの減免を求めること等),取り決め前でも支払い義務が出てくる(家庭裁判所への養育費調停の申し立て前であっても)点に注意が必要です。ここでのさらなる注意点は,法定養育費によっても,上で少し触れた担保権としての差押え(給与などの差押えの可能性がある)が出てくる点です。取り決めがないと考えた場合であっても,支払いの問題が出てくる点にも注意が必要でしょう。

 

令和8年4月以降はどうなるのでしょうか?

 先ほども触れましたように,令和8年4月以降は民法などの改正を経て状況が変わってくる点があります。養育費の回収を図りやすくするなどの目的のもとに,何点か回収をしやすくする改正がなされています。

 重要な点として,場合によっては公正証書がなくとも差押えを受ける場合が出てきたことが挙げられます。大きくは2点で,一つ目は離婚後・養育費の合意前であっても,子供一人当たり月2万円の法定養育費の支払い義務が出てきた点です。支払い能力如何によっては家庭裁判所での手続きを経るなどすれば,減額や支払い猶予・免除の可能性も出てきますが,原則は支払い義務が生じます。また,法律上認められた担保(一般の先取特権)として,給与などのさしおっさえなどを受ける可能性があります。二つ目は,公正証書がなくとも,養育費の合意などがあれば(つまり,離婚協議書等があれば),同じく子供一人当たり,一か月8万円の範囲内で同じく担保としての差押えを受ける可能性が出てくるという話です。

 いずれも,上で触れている点ではありますが,公正証書の作成がないからといって差押えのハードルが下がってきた面がある点には注意が必要です。

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