よくある相談

有責配偶者からの離婚請求の場合に別居期間の長さ以外に考慮される要素には何があるでしょうか?

考慮される要素とは?

 不貞行為を行う等法律上の離婚原因をもっぱら作り出した側からの離婚請求は,判例上制限されています。婚姻関係の形骸化が進んでいるうえに,離婚請求を認めても社会正義・信義に反しないといえるかどうかが考慮されます。形骸化の中には別居期間の長さや婚姻期間と比べてどの程度かという話もありますが,交流がなされていない等の要素もポイントとなりますので,単に別居期間の長さだけではないところもあります。

 

 このほか,社会正義や信義に反するのかどうかも様々な要素が考慮されます。例えば,お金のある夫側から離婚を求めているケースで妻側が専業主婦やパート勤務で子どもを養育する場合,養育費の金額によっては経済的に苦しい場合もありえます。夫側が離婚後お金がある(収入が大きい)場合には,妻側が経済的に苦しい反面・夫も負担があるにしてもそこまでではない場合も会えりえます。この場合に,別居期間中に経済的に支えたことや離婚に際してもある程度のお金の負担をするなどすれば,相手を経済的に過酷な状況に追い込まないということで信義に反しないと考慮される可能性があります。

 離婚時の経済的な給付額がどうなるかは,ケースごとの事情もあり一概には言えない面があります。早期に離婚を求めるのであれば,長期的に支える代わりの支払いになりますから,その分金額が上がる可能性があります。当座別居を続け相当大きな経済的な負担を負うのであれば,離婚時の負担は下がる可能性があります。ただし,ここでいう経済的な負担とは主観的に大きな負担というわけではない点には注意が必要でしょう。

 

 以上の話は先ほどのケースでの妻側の事情ですが,子どもにとっても大きな負担になるかもポイントとなりうる話です。子どもとの関係が諸般の事情により離婚をすると疎遠になってしまう場合には,信義に反する要素として考慮される可能性があります。

[未成熟子」がいる場合は?

 未成熟子とは,自立できない子供というのが簡単な意味ですので成人かどうかという話とは異なります。成人に近い・成人に達していれば該当しない可能性がありますが,令和4年4月以降の18歳成人になれば18歳になれば未成熟子ではなくなるという簡単な話ではありません。自活していれば未成年でも未成熟子ではありませんし,20歳を少し超えていても未成熟子の扱いを受ける可能性もあります(大学生などで稼働していないケースなど)。

 先ほど子どもとのかかわりを触れましたが,今まで子供と密な関係が続いていたのに離婚によって大きく疎遠になる場合には信義に反する可能性がありえます。これに対して,別居その他の理由により長く疎遠な関係が続いていた・子供自身が成人に近く親とのかかわりが密でなくてもいい場合には話が変わってきます。ただ,経済的に自活できない場合に養育費(特別な事情の場合の費用の話を含めて)等の負担をして支えるという話が出るのであれば,同様に話が変わってきます。

 

 以上は夫側が不貞行為をして,妻と子供を残して離婚をするケースを念頭に置いていますが,大きな負担を伴う話ですので簡単に考えられるわけではない点には注意が必要でしょう。

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