妻が主婦の場合に,婚姻費用や養育費を計算する際の収入は常にゼロなのでしょうか?
婚姻費用や養育費算定の際に考慮される要素とは?
考慮される要素は様々ありますが,現在家庭裁判所で重視されている算定式・算定表(日本弁護士連合会が示した新算定表)でも,夫婦それぞれの収入が大きな考慮要素にはなります。
特別な教育費や医療費,状況によっては住宅ローンのうちの一定額,生活に関わる借金の支払いなど考慮される要素はあります。これはそれぞれ別のよくある相談の個所で触れていきます。また,日本弁護士連合会が示した新算定表はいずれ別に触れる予定です。
収入がなくても,あると考えられる場合は?
収入がある場合にはその金額を前提に考えていきます。ただ,ゼロとされていても,そう評価することが不当である場合が考えられます。夫婦それぞれとなりますが,実際には働けるだろう状況なのに働かず収入がゼロとなっている場合です。
では,実際どのような場合が該当するのか問題となります。特に妻側が子供の世話をしているケースは多くあります。その場合で子供が小さければ預けて働くこともできなくはありませんが,そう簡単にはいかない可能性もあります。
ケースごとの事情によりますが,一般論として就学前の子供など幼い子供がいる場合など働こうにも働けないと言い得る場合には収入がゼロのままであることはありえます。ただ,ケースごとの事情にもよりますので,細かい点は弁護士に相談したうえで考えた方がいいでしょう。
働こうと思えば働けるというケースでは,公の賃金統計等を参考にこれだけの収入があるはずであるとして婚姻費用や養育費の金額を出すこともあります。
妻が生活保護を受給している点はどう考慮されるの?
生活保護は,制度上親族の扶養義務などを尽くしても生活できない場合に公が生活費の負担の基準の中でする制度です。ですから,生活保護を受給していることは何かしら収入として考慮されるものではありません。
こうした公の給付については,収入としては算定されませんから,こうしたお金を受け取っているからという話は家庭裁判所での調停などでは通らない話であることに注意が必要でしょう。