給料が減ったのですが,養育費の減額請求はできるのでしょうか?
養育費の減額には「事情の変更」が必要
離婚協議,離婚調停,離婚裁判を問わず養育費を決める際に,決める時点までの事情とその際に想定される事情変更を反映して決めるのが通常です。法律上は,養育費の変更を認める事情について明確にはされていませんが,裁判所の判断の中にも,同様のことを述べているものがあります。
これは,一度様々な事柄を基礎に決めたものがそう簡単に変更できるとすると決めた意味が薄れてしまうという考えがあるためといえるでしょう。実際,先ほどの判断の中には,決めた時点で予測できない事情の変更を必要とすると言いうものがあります。
そのため,事情の変更は必要ですが,離婚の際に離婚に伴って給与の一部が下がるという事情があることによってはそうした事情変更にはならない可能性が高い点には注意が必要でしょう。
どこまでの事情の変更が必要なのでしょうか?
結論から言えば,裁判所の判断からもはっきりしない点があります。ただし,一度決めたものが簡単に変更できるとすると決める意味がないという考え方も存在します。この考え方を前提にすると,大きな事情の変更でない限りは養育費の減額を認めるべきではないという結論に至るでしょう。
失業をした・勤務先あるいは商売の景気が悪化して給料や収入が大きく下がった・再婚をして子供が生まれた等の事情の場合には大きな変更に該当する可能性があります。ただし,給料などの減少についてはどこまでのものであれば,確実な事情の変更といえるかまでははっきりしていません。
再婚の場合についても再婚相手の収入状況も影響するところですから,単純に再婚をしたから減額になるという簡単なものでもありません。ケースバイケースであり事情によって異なりますから,弁護士に相談をして見通しをつけてみるというのも一つの方法でしょう。
ちなみに,様々な事情からいわゆる算定式や算定表で計算されるよりも大きな金額の養育費の支払いを合意することがあり得ます。この場合に単に算定式などよりも高額であるという理由では養育費の減額変更は困難です。あくまでも別途の事情変更が存在し,元々の養育費の金額を変更するだけの必要性がないといけません。その場合に,どこまでの変更が必要かは元夫婦の考えが異なる可能性もあります。
養育費の減額は家庭裁判所の調停という方法をとった場合に,話し合いがつかなければ裁判官の判断(審判)に至りますが,今まで述べたように小さな事情の変更で減額ができるというものでもありませんし,どこまでの減額になるのかという問題があります。
ご事情からの見通しをつけてみるのが重要になってくるでしょう。