別居後に預金口座から妻がお金を引き出している場合はどう扱われるのでしょうか?
預金口座からのお金の引き出しをどう考えるのでしょうか?
ご家庭によって収入や預金の管理は様々かと思いますが,ここでは主に男性側の収入がそれなりに多く,夫名義の通帳で生活費などのお金が管理され,妻が普段通帳を持っているケースを想定します。こうした場合では,夫側はどのような預金管理をしているのかよく把握していないことも十分にありうるでしょう。
別居した後に預金からお金が大きく引き出されていることもあるかもしれませんし,それ以前から給料などが入るたびにお金が全額に近いものがすぐに引き出されている・あるとき突然にお金が大きく引き出されるようになったということがあるかもしれません。こうした事柄に気付くのは,別居して預金がどうなっているのか気になってからということになるでしょうが,こうしたお金をどう考えるかは重要となってきます。
こうしたお金を生活費・必要な支出に対するためのものと考えるか・隠し財産を作ったものと考えるか・浪費をして使ったと考えるのか等用途は問題になってきます。生活費などであれば,負担が必要なものでありますが,隠し財産ならば財産分与での清算を考える必要が出てきます。浪費の場合には,損害賠償の問題も出てくるかもしれません。
引き出されたお金について,問題となることは?
結論から言えば,どのような使い道であったかがポイントとなってきます。もちろん,お気持ちとして金額として大きいといっても,大きな使途不明金・引出があるとは評価されない可能性があります。
預金総額に比べての割合やそれまでの生活ぶり・一時期に引き出されたのか等といった点から,通常の生活費レベルのものと考えられる場合もであれば,隠し財産のための預け替えの可能性が高いという場合もありえます。
隠し財産のための預け替えなどの可能性が,先ほど触れた客観的な状況から十分考えられる場合には,使途を問題にしていくことになるでしょう。別居の際にある程度大きなお金を引き出した場合には,転居や当面の生活費のためという説明が妻側からされる可能性もありえます。そうした説明が説明として十分なのかは,こうした時期のほかに引き出された金額その他の事情に寄ってくるものと思われます。
そのほかの時期でも,妻側から説明がなされた場合には,そうした説明を,そこで必要な出費が家計であったのか等を吟味していくことになります。必要な出費であったという説明や時間が経過していれば,覚えていないという話・その他使途の説明が妻側からされることが考えられます。
このようなお金の動きの状況や使途の説明や裏付け・その他預け替えなどの行動を妻側が取っていたのか等を吟味して隠し財産を形成していたのか等を考えていくことになるでしょう。
財産分与での清算の可能性は?
結論から言えば,可能性はあります。別居直後の引き出しのように,転居や当面の生活費をある程度は必要な場合を除くと,必要な出費であったという反論はそこまで簡単なわけではありません。ことに,浪費が考えられない妻側である場合には隠し財産の形成(預貯金の移し替えなど)の可能性は十分に出てきます。
こうした使途のの説明等が十分なされていない・客観的に見ても不可解な大きな金額の引き出し・浪費が考えられず,預け替えなどが十分考えられる場合には,こうした引き出されたお金がある程度は存在することを前提に財産分与(夫婦共有財産の清算)がなされることもありえます。
一般論から言えば,ここまで述べた通りですが,実際には問題となる個々のケースの事情から考えていく必要が出てきます。もし,そうした可能性があるのか疑問が出てきた場合には,弁護士に相談をしてみると,解決の糸口が見えてくるかもしれません。