よくある相談

結婚以来妻が家計管理をしていて預金額などが不明なのですが、財産分与の話はどう進めるとよいでしょうか?

別居まで預金口座の管理をしていないとき

 わりとよくあるのが、結婚後夫婦のどちらかが財産を管理していて、使い道も含めて全く把握していなかった、いざ結婚生活を続けることが難しくなったとき財産分与の対象となるものがよくわからない、というものです。
 とくに男性は妻に家計全般の管理を任せてしまっていて、普段お金の動きについては全く感知しておらず、いざ夫婦の間で話がこじれたときにはじめて通帳のお金の動きをみるということが割とあるように思います。
 別居に近い時期については、記憶をたどるとある程度使途がわかることもあると思いますが、長期間にわたって給与口座からまとまったお金が出ていっているとき、それ以外の口座が分からなければ動きがつかめなくなります。
 
 あるいは、夫婦共働きで、財布がそれぞれ別という場合も、分与対象財産がわからないというケースも見られます。

  このような、分与対象財産が不明な場合、どういった方法で調べればいいでしょうか。

預貯金の調査の方法

 預貯金に関しては、基本的にはどこの銀行のどの支店に口座があるかわからないと調査が困難になります。

 収入が多いのがご自身であれば、自分の給与口座の通帳、あるいは通帳を相手方が持っていて手元になくても、銀行から取り寄せることにより、お金の動きを調査することは可能です。

 しかし相手方も収入があって、給与が入る口座がわからない、あるいはそれ以外の隠し口座があると思われるときには、仮に銀行や支店名が分かったとしても、個人情報の観点から本人以外の第三者が残高などの情報を教えてもらうことは委任状がない限りできません。

 ただ、既に夫婦で離婚の話をしているとき相手方から委任状を取り付けるのは無理でしょう。
 そうなると、離婚調停の際に調停委員を介して資料提出を求めたり、裁判所に対して、金融機関への調査を求める(調査嘱託といいます)ことにより、資料を取り寄せることになります。

 弁護士会を通じての照会もありますが、最近では、個人情報の関係があり、やはり銀行から開示を求めることが難しいようです。
 ですから、できれば別居のときまでにある程度相手方名義の預貯金の把握はしておくのがよいですが、難しければ上記の手段を使うことになります。
 
 財産分与の請求は、基本的には離婚成立から2年まで(正確にいうと、2年を過ぎても相手が応じる限り財産分与をすることはできますが、協議ができないときに審判を家庭裁判所に申し立てることができなくなります)という期間制限があるので、早めに調査に着手するべきでしょう。

保険の調査の方法

 保険については、相手方が掛けている場合はどこの保険かよくわからないという話をしばしば聞きます。

 通常、保険の掛金の支払は通帳からの引落にしていることが一般と思われるので、相手方が契約者になっていれば、その口座から引落になっているでしょう。それを手がかりに相手方に解約返戻金の開示を求めるのが一つです。

 また、年末に近くなると、保険会社から控除証明書が届いたり、あるいは契約更新時にはお知らせが届くと思いますので、そこから辿ることも可能でしょう。

 それでもわからない場合、既に離婚等に関して弁護士に依頼しているのであれば、弁護士照会で生命保険等加入の有無、払込状況、解約返戻金の有無などについて、社団法人生命保険協会に照会をすることで、加盟している保険会社全社への一括照会ができます。ですから、そういった手続きを利用することも検討するとよいです。

裁判所は積極的に調査しないのでご注意を

 遺産分割の場合でもそうですが、調停や裁判になったときに、家庭裁判所が対象となる財産を調査してくれるのではないか?と思われがちです。

 しかし実際のところ、家庭裁判所は当事者それぞれに財産に関する資料を開示させますが、どういったものが具体的にあるかは、それぞれが調査をして、相手に開示を求めて、開示させているのが現状です。

 ですから、相手の協力を得られれば、開示されますが、相手の協力が得られないときは、裁判所を通じて調査を求める(調査嘱託)必要があります。それにはある程度以上、所在を特定できなければなりません。

 そういった意味で、いざというときのための財産状況の把握が必要になってくるでしょう。

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