よくある相談

妻が結婚してから浪費で作った負債があり,財産形成に影響があった場合に,財産分与ではどう扱われるのでしょうか?

浪費は財産分与では考慮されないの?

 財産分与では,結婚してから主として別居まで築いてきた財産を生産するのが原則です。そうなると,別居までに築いた財産がない・マイナスという場合には清算をする財産がないことになり,財産分与が考えられないということになりそうです。

 

 ただし,結婚してからの財産形成は,基本的には収入から婚姻生活を行うのに「必要」な費用を除いてためていく形にはなります。そうなると,支出意図が明確でない大きなお金の支出を全く考慮しないのは不公平ではないかという話も出てきかねないところです。実際,財産分与では公平の観点から様々な事情を考慮して行うとされていますので,「不合理」な大きな支出やそれによってできた負債があるから全くお金の支払いが生じないのは公平ではないという話が出てくるところです。

 

 こうした点の修正は,後で触れますが,

・使ったお金のうち,全く合理性を欠く部分を戻してもらい清算を行う

・清算の割合を変更する

 というものが考えられますが,いずれにしてもそう簡単にはいかない(ハードルが相当ある)という点には注意が必要です。

浪費による負債は,財産分与で考慮の対象になるのでしょうか?

 まず,財産分与では,夫婦で築いた財産から負債を差し引いて,残額がプラスとなるのかどうかが大きな問題となります。仮に妻側(ケースによっては夫側に大きな浪費がある場合もありえます)に浪費による負債があった場合に,ここを差し引くのかは問題となりえます。

 特に,妻が自分名義の口座にお金を入金していて,その負債があるから財産分与による清算がないとすると不公平な結果になりかねません。そのため,こうした場合には,婚姻生活を営むのに必要な費用を賄うための負債でなかったということで財産分与での清算では考慮しないこともありえます。

 

 ただし,先ほども触れましたように,全く合理性を欠く支出かどうかが大きな問題となります。例えば,洋服や化粧品などへの支出があったとしても,ある程度は生活に必要な部分もありますし,生活をしていくうえでのおしゃれなどの要素は十分ありうるところです。こうした要素が全くない支出と言えて初めて先ほど触れました,全く合理性を欠く支出と言えますから,少し金額の多い支出がある・贅沢ではないかという話で簡単には全く合理性を欠く支出とは言えない点には注意が必要でしょう。

 同じことは先ほども触れました,使ったお金のうち全く合理性を欠く部分を戻してもらうという,その部分についても当てはまります。いずれにしても,ハードルは相当程度あります。

浪費が清算割合に影響をすることがあるのでしょうか?

 結論としては,ありうるけれども,そう簡単に清算割合は修正されないということになろうかと思われます。他のコラムでも触れていますが,あくまでも財産分与での清算のルールは夫婦の貢献は等しい,つまり50%ずつでの清算となります、これは妻が専業主婦でも,家庭での貢献があるからということで変わりません。

 

 この割合を修正するのであれば,それだけ夫側が財産維持のために特に頑張ったといえる事情があります。また,他の点で使った財産を戻すなどの考慮をしている場合には,ここでの調整までを行うのは公平に反すると評価される場合もありうるでしょう。

 

 先ほども触れました夫側が特に財産維持のために頑張ったといえるとすれば,例えば,夫側が節約をして財産をためるようにした・妻側が夫の収入を使って浪費をする一方で自分名義のお金はためていた,というようなケース(これは実際の裁判例のケースでもあります)が考えられます。こうしたケースであれば,夫の貢献によって妻が自分名名義のお金を貯めることができた等の事柄が言えますが,いずれにしても,清算割合を修正するためには,それだけの特別な事情が存在する必要があります。

 また,そうした特別な事情の根拠となるだけの事実関係があるかを精査する必要があるでしょう。こうした点は弁護士なといった専門家に相談をして対応を検討してみるのも一つの方法かもしれません。

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