私立学校の学費や塾代などはどこまで,生活費(婚姻費用)や養育費で考慮されるのでしょうか?
養育費などの計算で学費はどこまで考慮されているのでしょうか?
学費に限りませんが,現在家庭裁判所で広く使われている算定表・算定式の計算では,標準的な学費は考慮されています。同じことは医療費についても言えます。ここでいう標準的な学費とは何かという問題がありますが,一言で言えば,公立学校に通う子供がいる世帯での・年間平均収入に対する・学費相当額,が考慮されています。子供の生活費割合と呼ばれるものが公立中学校までと公立高校に通う場合でそれぞれ大きく異なってくるために15歳になるかどうかで変わってきます。
これだけだと抽象的でわかりにくいですが,子供が通うのが中学校・高校であれば,平均となる部分は当然変わってきます。一応の目安として800万円から900万円程度の収入を超える場合(具体的な金額は問題となるケースごとにご確認ください)には,ここでいう平均年収額を超える可能性があります。
今触れました平均年収額を超えて算定表や算定式での計算を考える場合には,先ほど触れた通常考慮されている学費負担部分を超えて学費負担分を考慮している形になります。つまり,追加負担をそう簡単には求められない可能性があります。
私立学校の学費を負担する可能性は?
先ほどの話からいえる点として,算定表や算定式の考え方で十分に考慮されていない学費相当分は負担の可能性があります。注意点としては,あくまでも平均年収額での学費相当分ですから,平均年収額を超えている場合には,その部分を超えての考慮がされている可能性があるという点になります。
実際に子供が現に私立学校に通っている場合には,場合によっては考慮されない費用部分が発生する可能性があります。その際にどこまで考慮される割合があるかという点が問題になります。実際の裁判例での判断として,現に子供が私立学校に通っており,養育費の支払いをする側もそのことを承諾していたことを理由に,養育費の算定にあたって考慮されたというケースも存在します。重要なのは,私立学校の学費をすべて負担するというわけではなく,養育費算定にあたっての考慮という点です。
関連して成人した子供の養育費や学費の負担をどうするのかという話もあり,自活ができないという評価がなされた場合・進学について養育費の支払いをする側が承諾をしていたケースで,これらの負担が考慮されたものも存在します。
習い事の費用や学習塾の費用は?
学習塾の費用や習い事の費用は,一般的に言う学費よりも優先順位が後に置かれる傾向にあるように思われます。実際に,私立学校の学費の負担を養育費の算定で考慮した裁判例でも,学習塾や習い事の費用負担までは考慮しないとしたものがあります。
もちろん,全く費用負担が考慮されないとは言えませんし,認められたケースもあります。この場合はどこまでの負担を考慮するのかという問題もあります。考慮される事情として,支払いをする側の収入等や支払いをする側・受ける側の以前の生活状況・現在の生活状況・支払う側が習い事や学習塾に通うことなどを承諾していたのかなどを踏まえて考えていくことになります。先ほどの点からは,ここの負担が認められるハードルは相当程度は存在するものと考えられますが,これまで学習塾に通ってきた実績があり,そのことを知りながら費用負担もしてきたという事情等があれば,考慮される可能性はあります。