よくある相談

自営業を営んでいますが,商売用のお金や預金などは財産分与でどう扱われるのでしょうか?

財産分与の対象とは?

 財産分与では,結婚してから夫婦で築いたお金をどのように清算するのかという話がメインになります。通常は外で稼いできたお金のうち生活費に使わずにためてきたもの等が清算の対象となる,言い換えれば,家庭外にあるものは清算の対象ではなく家庭内のもののみが清算の対象ということができます。

 勤務で得てきた給料は,生活費を除けばまさしくここでいう話に当てはまりますから,サラリーマン世帯ではお互いの貯金や投資しているもの・保険などを考えればいいだけなので,清算対象に何が含まれるかは一部の例外を除き,そこまでは大きくならないでしょう。

 

 これに対して,法人なりの会社で夫婦が実際に商売をしている場合や個人事業主の場合には,売り上げから経費を引いたもの全額を家計に入れているとは限りません。そのため,家に持って帰った部分から生活費を引いたものだけで財産分与の対象になるかどうかが問題になる可能性があります。

自営業の商売用の資産や負債はどう扱われるの?

 売り上げから経費を除いた部分をすべて家に持ち帰らず,会社の商売や投資用のお金としても残す可能性がある分(実際はそうではないものも混じっている可能性があります)自営業で使っている資産が財産分与の対象になるかは大きな問題となります。

 

 ちなみに,商売用に準備しているお金が多いのでそこだけ財産分与の対象にしてほしい,言い換えれば借り入れは全く考慮しないでほしいという話が通るかというとそういかなくなる可能性は高いです。あくまでもお互いに築いた財産のためのかかった費用やそのために負った負債も共同での負担部分ですから,この部分を考慮する必要が出てきます。

 

 それでは,どのような場合に商売用の資産や負債を財産分与による清算の対象とするかどうか言う話が問題になります。個人として私的に使うお金と事業用のお金が分けて管理され,多くの従業員を抱えている場合には,個人用と事業用の財産は別途独立しているといえる可能性が高まります。そのため,こうした場合には財産分与の対象とは言いにくくなってきます。

 これに対して,個人で使う口座と事業用の口座が同じでお金や財産がきちっと分けられていない場合には,事業用に使うと思われる部分もはっきりしません。こうした場合には,全体が財産分与の対象になる可能性は上がります。実際に裁判例の中には財産分与の対象になる(このケースでは事業用の負債も含めて)と判断したものもあります。

 

 後に法人なり(会社設立や医療法人設立)をして,預金などを法人に移し負債は自ら追っていたケースでも,分与対象にならないとされる場合には同様に考慮はされないものと思われます。言い換えると,資産のみ考慮してほしいという話・負債のみ考慮してほしいという話にはなりにくくなるでしょう。

分与での清算割合は?

 財産分与での清算割合が問題となるのは,その財産が清算の対象になった場合です。事業用財産については特に生産の対象になるのかの問題が大きくなります。次に清算の対象になった場合に問題となるのは分与割合(どの程度の貢献がお互いにあるとみて清算するのか)という話です。

 この場合も基本的には1/2ずつの清算が基本です。もっとも,御自身の特別な才能で伸ばしたと客観的に言える場合(この場合には相当な程度伸ばしたといえる必要が出てきます)にはご自身の取り分が増えます。一方,妻側が家計に加えて自営業も手伝うなど貢献が特に大きい場合には,逆に妻側の取り分が多くなる可能性もある点には注意が必要でしょう。

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