よくある相談

結婚前から加入している積立式の保険は,財産分与の際にはどのように考えるのでしょうか?

生命保険などの財産分与の対象は?

 離婚の際の財産分与では,結婚中に夫婦が築いてきた財産と評価できれば対象となることは既に何度も触れています。生命保険も,いわゆる掛け捨て型のものもあれば,満期になれば保険金が入っている積立型・貯蓄型のものまで様々あります

 このうち,財産を築いたと評価できるのは,学資保険その他年金保険等満期に保険金がもらえる・途中で解約してもお金が一部もどってくる(解約返戻金と言います)が出るタイプです。離婚の前に満期が来ていて保険金となっていた場合には,その金銭のうち,どこまでの部分を夫婦が結婚中に築いたといえるのかという話になります。

 

 これに対して,離婚をする際には満期が来ていない保険については,その時点(通常は別居時点)までの解約返戻金を財産分与の対象と考えることになります。子供のための学資保険であっても,親のどちらかが契約者で保険料を支払っている場合には,少なくとも財産分与の対象となります。もっとも,妻側から親権者になるとともに,子供のためのものであるから,学資保険は財産分与の対象から外してほしいという要望を出されるケースもあります。

結婚前から加入している場合は,どう考えるのでしょうか?

 結婚前に既に相当な期間積み立て型の保険に加入している場合には,結婚時点で既に相当な金額の解約返戻金があることになります。調査をすることで,この金額がわかるのであれば,別居時における解約返戻金との差額が,結婚してから形成した財産と評価することができます。

 とはいえ,昔に契約をしたものであれば,資料が十分でないこともありえます。この場合に,保険の解約返戻金をすべて財産分与の対象とすることはおかしなことなので,どうするかを考える必要があります。保険の解約返戻金の変わり方は商品によるところはありますが,契約からの年数で均等に増えていくわけではありません。ただし,どのような形勢がされてきたかわからない場合には,年数に応じて均等に増えたものとして考えていく方法は十分に合理性があります。これに対して,後になればなるほど増え方が大きくなるからという反論がありうるところですが,結局のtころどのようなものかは分からないという問題点もあります。

 また,結婚してから払い込まれた保険料相当額をもって結婚してからの解約返戻金相当額であるとする考え方もありえます。この方法は保険料相当額がそのまま解約返戻金額になるわけではない(通常は,払込保険料のうちの一部ですから,少なくなると想定されます。特に商品によっては,契約からの期間によっては解約返戻金が低く抑えられていることもありえます)ですから,分与を求められる側にとっては不利になる可能性があります。

 

 必ずしも絶対という方法があるわけではありませんが,分与を求められる側(夫側がそうなるケースは相当程度あると思われます)からすると,こうした各方法のいい点悪い点を意識して,公開のない形でそうしていくのかを考えたほうがいいように思われます。

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