よくある相談

近い将来の減収の見込みや収入の変動が大きい点は,生活費(婚姻費用)や養育費の算定でどのように考慮されるのでしょうか?

算定の基礎となる収入

 生活費(婚姻費用)や養育費はの負担額を考えるにあたって,現在家庭裁判所で使われている算定式では,双方の収入に基づいて算定されます。そこでは,直近の収入が基本的には安定して続くことを前提に,直近の源泉徴収票(給与の場合)や確定申告書(自営収入の場合)をもとに収入を考えていきます。

 この点は2019年12月に公表された司法研修所の研究結果によっても変わってはおりません。

近い将来の減収の見通しはどこまで必要?

 先ほど触れた源泉徴収票にしても確定申告書にしても,性質上近いとはいえ過去の収入資料です。他方で,生活費(婚姻費用)にしても養育費にしても基本的には今後の生活にかかわるものですから,厳密には収入は今後の収入を考えていく必要があります。

 そのため,実際には収入の減少が源泉徴収票や確定申告書を作る際の基礎資料反映の時期よりも後に起きていれば,反映をして考えていく必要があります。とはいえ,収入がどの程度かが問題になる際には,単に感覚的に見て減収が生じそうというだけでは不十分ということが多くなります。資料による裏付けがあるのかどうか・具体的に減少をもたらす事情としてどのようなものがあるのか,どの程度減収が生じそうなのかが明らかでないといけないでしょう。

 

 結局のところ,こうした点が明らかでない・資料がないと,どこまでの減収が生じえて・収入が動くのかはっきりしませんので,特に家庭裁判所の手続きではこうした点を反映した話し合いや判断は難しくなるものと思われます。実際に景気の変動により大きな減収が見込まれる場合(特に自営業の場合は業種により顕著になることがありえます)には,既に生じている部分はその資料と原因・見通しにより考慮されることもありえますが,いずれにしてもはっきりそうした状況になっていることがわかる資料が必要になるでしょう。

収入変動が大きい場合にどう考えるのでしょうか?

 収入変動が大きい場合にはどのように考えていくのがいいかさらに面倒となってきます。考え方として,

 ①それまで数年分の収入資料を参考にして,平均をとって収入を考えていくという方法

 ②とりあえず,前年の収入を参考に,変動が大きいことを前提に見直しをこまめに行うことを取り決める方法

 等いくつかのものが考えられます。

 

 前提として,収入の変動が大きくなりそうな要因や減収が一時的なものなのか(すぐ元に戻る性質のものか)が問題になります。また,②は話し合い解決に向く方法ですが,そもそもお互いに今後連絡を取り合えるのかどうかが大きく関係してきます。そのほかにもどのように取り決めていくのがいいのか問題になるところもあります。

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