よくある相談

平成31年2月に判決のあった不倫(不貞)相手への慰謝料請求の裁判所の判断は,どのような影響を及ぼすのでしょうか?

不倫相手への慰謝料請求での注意点(時効の関係)

 不倫相手へ慰謝料請求をする場合,相手がどこの誰であるか判明しているのか・不倫,不貞行為という証拠はあるのかという話など以外に,時効期間が経過しているのかという問題も法律上請求できるかどうかについて存在します。もちろん,これ以外に夫婦関係が破綻していたのか等の問題もありますが,ここでは時効の話について触れておきます。

 

 不倫・不貞行為は継続する「不法行為」とされています。一般にこうした「不法行為」への時効は,不倫・不貞行為とその相手方を知ってから3年で経過するとされています。ここでいう相手方を知るとは,請求ができる程度に知っていることを指します。そもそも,時効とはここでの関係で簡単にいいますと,3年の期間が経過して請求など一定のリセットする事柄がない場合には裁判などでの請求が認められなくなることを言います。

 そのため,時効の期間が経過するかどうかは重要な話になります。先ほど触れました継続する「不法行為」では,ある時期で不倫・不貞行為に及んでいたことは刻一刻と時効期間が経過していくことになります。そのため,一端不倫・不貞行為が発覚した後,3年が経過するとそこまでの慰謝料請求は時効期間が経過してしまう可能性が高くなります。

問題となった裁判所の判断はどういうものでしょうか?

 判決における事実認定によれば,

 ①元妻と別の男性が不倫・不貞行為をしていることを元夫が知った。それからすぐに,元妻と男性は別れた

 ②元妻と元夫はそれから4年が経過して離婚をした。それまで特に慰謝料請求はしてなかった模様です。

 

 こうした事実関係で,元夫が妻の不倫・不貞相手であった男性に慰謝料請求をしたケースであるようです。この場合に,先ほど触れた話に基づきますと,不倫・不貞行為についての慰謝料請求は時効期間が経過しているので,このまま請求すると慰謝料請求が裁判で認められることは難しくなるようです。

 

 この場合に,少なくとも元妻には離婚を余儀なくされたことへの慰謝料請求をすることは可能ですが,妻側の支払い能力などで問題が出てしまうことなどが一般的にはありえます(このケースでどのような事情があったのかは定かではありませんので,ここで述べたのは一般的に言えば,そうしたこともありうるという話です)。

 

 このケースでの慰謝料請求の根拠として,不倫についてのもののみか・離婚を余儀なくされたものなのか筆者が確認できた範囲では不明な点もありますが,判決文からは不倫を原因として離婚を余儀なくされたことも理由とするものの用です。

 最高裁の判断は,こうした離婚を余儀なくされた慰謝料を夫婦以外の人間に請求することは原則としてできないというものです。これは,離婚をするかどうかは夫婦が判断をして決めるもので,それは不倫・不貞であっても変わらないという理由によるものです。夫婦の判断に介入をしてきたといえる場合には,例外に当たりますが,当初から離婚させてやろうとしての不倫・不貞でかつ離婚への意思決定に強く介入をしようとして実際にしたものということと考えられます。そのため,実際にはこうした目的のもと行動に出てくることはそこまではないでしょうから,例外に当たる場合は少ないものと思われます。

 

 いずれにしても,こうした限界があることを踏まえつつ,証拠や感情面を含めた今後への見通し,更には請求相手の支払い能力などを踏まえて対応を考えていく必要があるでしょう。

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