離婚の際に元妻が子供の親権者になりました。その後,子育てがうまくできておらず,心配です。
子供の親権者を変えるには?
離婚の際に様々な事情から妻側を親権者にしたものの,その後に養育が十分されていないのではないか・子供への暴力があるといったことがあるかもしれません。こうした場合には親権者を変更する手続きがありますので,その手続きを行う必要があります。
この手続きは離婚の際に協議離婚をした場合であっても,家庭裁判所へ親権者変更の申し立て(話し合いである調停と裁判官が判断を示す審判がありますが,調停からになるのが通常です)を行う必要があります。お子様にとって影響を与えることになる親権者の変更に裁判所が関与するという形になります。
親権者の変更はそう簡単にはできません
一度決めた親権者を変更するにはそれなりの事情が必要となります。特に元夫婦間で親権者の変更をするのかどうかについて争いがある際には,シビアに変更するだけの事情があるかどうかが問題になってきます。ここでの変更するだけの事情は,離婚後に生じた事情の変更で離婚時には予測できない事柄である必要があります。通常予測できることまでは織り込んで離婚時に決めているはずだからです。
また,その事情も子供にとって監護する方を変えたほうがいいのかどうかという点が重要となります。それには,ネグレクトや虐待などで親権を持った側が子育てに不適当であるという事柄等これまでの親権者の事情や変更を求める側が子供の監護をすることが十分できるのか等変更をしたほうが子供にとっていいといえるだけの事情が必要となります、言い換えると,子育てが十分にできないといえるだけの事情が弱い場合や子育て環境や能力に大きな違いがない場合には,容易に変更はできない可能性があります。
ネグレクトや暴力があって急いでの対応が必要な場合には?
元妻側にネグレクトや暴力がある場合には,子供の監護が不適切と評価される事情にはなりえます。ただし,事実関係に争いが出てくる場合には事実を証明する証拠は必要になってきます。
特に急いで対応をする必要がある場合には,児童相談所など公的機関への相談及び対応を求めるのは必要です。それだけでなく,妻側の親権に基づく監護を緊急に止める必要も出てくる場合はありえますので,そのための申し立てをする必要はあります。平成31年2月時点で法律改正の方向は示されていますが,これまでのもので以下記載をしておきます。
一つは,審判前の保全処分を使う方法です。親権の執行停止を求めることになり,この場合は最終的に親権者を変更するかどうかの判断が出るまで親権を代行する方が選任されることになります。
二つ目は親権の執行停止とともにその審判前の保全処分を申し立てるという方法です。実際には先ほどの話とほぼ同様な話になります。いずれの方法も緊急の必要性がないといけないため,例えば,このままであると子供の生命に危険が及ぶような場合になります。この緊急の必要性があるのかどうかの吟味をして対応を考えていく必要性があります。
このほかに親権の喪失の申し立てとともに同様の審判前の保全処分の申し立てをすることも考えられるでしょう。なお,今後は法令が改正され一部変更になる部分もありえますので,その場合には別途触れていきます。