離婚の請求が裁判でも認められないことの意味はどのようなものでしょうか?
離婚を判決で認めないということは,必ずしも修復・同居に至るとは限りません
離婚について夫婦間の意見の食い違いが大きい場合には,離婚を求める側が離婚裁判を申し立てることになります。離婚裁判では,事実関係(証拠の裏付けなどが必要)とそれに対する評価によって離婚原因があるのかどうかが審理されます。特に性格の不一致などの場合には,修復が不可能かどうかには相当程度評価の入るところが出てきます。
こうした審理に基づき判決が出された場合に,一定の効力があります。それは,後の事情変更がない限りは一度出た判決は後の離婚裁判でも拘束するというものです。わかりにくいですが,一度離婚原因まではないと判断されると時間の経過による事情変更がない限りは,離婚は認められなくなるという話になります。もちろん,ここでいう判決とは不服申し立てを踏まえた最終的な判断になります。離婚を命じる判決であれば,判決で離婚になります。
離婚を認めない判決が出された場合には,先ほど触れましたように時間の経過などで事情の変更がない限りしばらくは離婚ができなくなります(もっとも,相手が離婚に同意すれば話は別です)。また,離婚を認めない判決はくまでも離婚を命じない(その原因まではない)という判断だけで同居を強制するものではありません。修復を当然に意味することはありません。
夫婦は同居をし助けあう義務があると法律上されています。しかし,裁判例上修復が容易でない場合などで拒む正当な理由があると判断をされているため,修復が困難とまでは言えないけれども同居を裁判所の手続きで請求しても認められないケースは出てくる可能性があります。
夫が離婚を求めている場合の意味
先ほど触れた話は男性側にとって,離婚を求めていたか・求められたかで話が変わってくる点があります。まず,共通して言えることは,男性側が生活費(婚姻費用)を支払い続ける必要が出てくるという点です。特に離婚を求めていたのが男性側であった場合には,請求が認められないうえに,生活費の支払いを継続しないといけないということで問題が大きくなります。
ただし,男性側の収入よりも妻側の収入が多い等の事情があった場合には,こうした生活費に関する負担は軽くなってきます。ここでは比較的多いと思われる男性側の収入が妻側よりも多い場合を念頭においています。
こうした事もあることから,離婚裁判での見通しを考えて各自の提案などを行う必要が出てきます。とはいえ,妻側が感情的その他の理由からおよそ離婚が嫌であるといっている場合には提案の意味がほぼなくなる点に注意は必要でしょう。
再度離婚を求めるにしても妻側が応じなければ時間が相当字度経過する必要があります。どの程度かはケースによって異なりますが,修復へ向けた話があったのか等によって異なります。また,単に条件面で折り合わなかった場合には,こうした場合には条件面のハードルが上がる可能性があります。
夫が離婚を求められている場合
夫側が離婚を求められている場合には,拒否していた離婚が認められないのだから,その意味では大きい成果です。もちろん,それに伴って生活費(婚姻費用)の支払いが続きます。問題は先ほど触れたように必ずしも修復や同居につながるとは限らない点です。
こうした問題になりうる要素とお気持ちなど様々な点を考慮して今後を考えていく必要があるでしょう。