婚姻費用(生活費)の支払いはいつからする必要があるのでしょうか?話がついた際に未払い分はどうなるのでしょうか?
生活費(婚姻費用)の支払いはいつからする必要があるのでしょうか?
一般に生活費(婚姻費用)は結婚していることで生じる生活を助ける義務(扶助義務)に基づくものです。毎月生活をしている際に,生活費として妻側に渡している(あるいは生活費などを引いて小遣いとしてもらっている方もおられるでしょう)ため,同居をしている際にはあまり問題にはなりません。
別居をした際に,こうした助ける義務として負担をする必要が出てきます。具体的な義務は,例えば,内容証明郵便等記録に残る形で具体的な支払い請求が来た場合や生活費を支払う調停の申し立て(婚姻費用分担調停の申し立て)があった際とされています。前者は特に家庭裁判所への申し立てがなくても支払い義務が生じる場合(ただし,金額に争いが出てくる場合には決まった金額でということになります)といえるでしょう。
注意点は,話し合いがついた時点というわけではなく,さかのぼる可能性がある点です。ちなみに,曖昧に別居時に生活費を「〇万円」支払うという話が出ていても,厳密な約束でもなくその後支払いがなされずにトラブルになるケースは十分にありうるところです。
金額などでもめており場合に,話がつくまでの金額はどうなるのでしょうか?
先ほど述べたように,支払い義務は金額面などで話し合いがつく前から生じていることがあります。この場合には,金額面は話し合いがついた際に確定をするものの,支払い義務が出てくる期間は話し合いがつくまでに相当程度出てきます。
金額がもめる原因は,妻側の請求金額が高額である・二重生活になるなどして支払いが困難である・住宅ローンの支払いをどう考慮するかでもめている・収入金額が信用できないということでもめている・別居の原因から支払いが難しいとのご意向を示しもめている・子供と合わせてもらえないのに払いたくない,等多数考えられます。
こうしたいずれのケースでもここで述べたことは当てはまります。毎月の金額面という問題もありますが,こうした点への注意もしておく必要があるでしょう。
未払い金額の支払いについてはどうすればいいでしょうか?
話の付き方が裁判所の判断(審判)である場合には,未払金は一括支払いを求められます。話が難航した場合には,判断が出るまでの期間が長くかかりますから,金額が高額になる可能性があります。この未払いもまた給与・財産の差し押さえの理由になりますから,未払金額の対応は非常に重要なことになります。
対応は,話し合い解決で,未払金額の分割支払いなどに妻側に応じてもらう(この意味で妻側に譲歩を求める形になります)・話し合いがつくまで毎月仮払金としていくらか支払う等の対応が考えられます。ただし,いずれの場合も妻側が応じる必要が出てきます。後者については特に金額面の対立が大きい場合には妻側が応じない可能性もありえます。
このほか,金額面など納得いかない部分を争う一方でいざという際の支払いのためにお金を準備しておくという対応もありえるでしょう。ご自身のスタンス(納得がいくかどうかと未払いによる差し押さえリスクの勘案など)を踏まえて検討しておく必要があります。