よくある相談

医師としての稼働や社長としての稼働がある場合に,財産分与の割合は半分ずつなのでしょうか?

財産分与で清算される割合の原則と例外

 財産分与をどのようにするかは法律上は明確な基準はなく,様々な事情(法律上考慮要素は記載されています)を考慮して公平の観点から行うとされています。実際は特別な事情のない限り,半分ずつの貢献が夫婦にあったという前提で,半分ずつの割合での清算がなされるのが原則です。

 妻側が専業主婦の場合にも家事労働があったという理解からこのように考えられています。

 

 これに対して,

①妻側が家事をサボっていたのだから半分ずつはおかしいのではないかという話

②資格でご商売をしているケースでその収入で大きな財産を築いた場合(医師や税理士その他)・起業をするなどしてその後特別な能力で会社を大きくした場合

 

 等には,半分ずつはおかしいのではないかということで問題になることがありえます。もちろん,①②以外でも問題となることはありうるでしょうが,ここでは①と②の場合を取りあげます。

 ①の場合,問題となるのは,家事労働をサボっているとはどこまでを吹くのか・実際どのように示していくのか・サボっている場合に貢献割合が少なくなるのかという点です。特にサボっていたかどうかは個人の主観に左右されますし,明確に貢献が小さいという場合は,妻側が家事を行わないため夫側が家事を多く行っていたといえる必要があります。このことだけで,当然に貢献割合が下がる課のかどうかという問題も出てきます。

 一番大きな問題は,どのように示していくのかという話です。妻側が争ってきた場合には証明をしていく必要がありますが,日常生活から記録をとっておくことは少ないでしょうから,こうした点のハードルは大きくなってきます。

 

 ②については,項目2で触れます。

例外になる場合とは?どのような割合になるのでしょうか?

 項目1の②の場合には例外に当たる可能性もあります。一般に貢献割合が半分ずつから修正されるケースとして,夫婦のうちのどちらかの特別な才能や努力による大きな財産を稼ぎ出したといえる場合には半分ずつでは考えないとされます。

 どのような場合がこうした例外に当たるのか明確な基準はありません。個別のケースの具体的な判断になってきます。裁判例のなかにもこうした点に言及をしたものがあります。そこで述べられている事柄として,今まで述べた②に該当するケースで,結婚前後の努力を考慮すると,清算割合を修正しないと個人の尊厳が確保されたとは言い難い場合が挙げられています。他には,プロスポーツ選手のように,将来的な収入は大きく減る可能性がありこうした部分も含めて高額が収入がある場合も挙げられています。

 

 ここでは,資格による収入や会社経営による収入で築いた財産がこうした修正をもたらすかを触れておきます。結論から言えば,医師や税理士弁護士等仕事に独占分野があるなしにかかわらず,こうした資格による仕事上の努力によって特に大きな財産を築いたといえる場合・経営能力やノウハウなどによって会社を大きくして財産を特に大きくした場合は該当するでしょう。ただ,この話には抽象的なところがあるように,会社経営者だから・医師だから等といっただけで当然には割合が修正されるとは言えません。労力の多くを使って多くの収入や財産を築いてきたという事情等も必要になってきます。

 個別の事情を考慮して清算割合が修正される(どの程度かも個別の事柄の考慮によって変わってきます)ということになります。そのため,修正の割合も個別の事情によって変わってきます。

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