よくある相談

人身保護法に基づく子供の引き渡し請求とは何でしょうか?

人身保護法に基づく手続きとは?

 既に別のコラムで触れていますが,現在一般に子供の連れ去りなどがあった場面で使われる家庭裁判所における審判あるいは調停以外の手続きに,同じ場面で地方裁判所における人身保護請求という制度があります。

 この手続きは,子供の引き渡しを求める場面以外でも「顕著な違法性」のある「拘束」であると評価できる事情がある場合に,そうした「拘束」状態から強制的に開放を図ろうというものです。当然,申し立てをするにあたっては,子供を監護することに「顕著な違法性」のある「拘束」といえる必要があります。

離婚前の親権者同士における請求ができる場面は限られます

 見出しの通り,離婚に至る前の子供の監護養育を誰がするかという点が争われる場面では,人身保護法に基づく請求を使うことができる場面は現在裁判例によって限定されています。離婚前は双方の親とも共同親権を有していますから,監護養育に「顕著な違法」といえるだけの「拘束」といえるのだろうかという問題もありますし,もう一つある家庭裁判所での引き渡し・監護養育するのは誰かを様々な調査を尽くして行う手続きとの関係をどう考えるのかという問題があります。

 

 こうした問題について,最高裁判所の判断が存在します。それは,こうした調査(家庭裁判所調査官によるこれまでの監護環境についての調査や子供の現状調査等)を反映した判断等の手続きがあるのだからそちらをまずは使うべきであると判断をしています。ただし,例外については二つの具体例を挙げています。

 ①家庭裁判所の判断で最終的あるいは仮に子供の引き渡しが命じられているけれども,引き渡しが実現できない場合

 ②現在監護養育している親のもとでは著しく健康ン面で問題が出ている・義務教育を受けさせない等親権者の対応としても容認できない事情が存在する場合

 

 このうち,①については子供の引き渡し手続きを整理する法律改正が2019年に行われ,そう遠くなく施行されることになります。そのことによって,この記事を書いている現在,引き渡しを命じられた側が説得に従わない等の事情によって,人身保護手続きの請求に至っているケースがどうなっていくのかは注目されます。

申立てをした後の手続きは?

 申立をする場合には,迅速な拘束からの解放を目的としていますので,審問手続きで引き渡しを命じられた側等の言い分を聞く手続きが開かれます。また,子供についても多くは国選の手続き代理人が選ばれます。案件と関係ない弁護士が選任されます。この選任の費用等は申し立てた側があらかじめ収める必要があります・

 審問の時までに言い分などを提出し,その場で迅速に判断と引き渡しを図っていくことが原則とされています。ただし,実際には,準備手続きという養育監護をしている事情などを調査する手続きが存在し,この手続きが取られることもあります。この手続きでの調査を踏まえ,任意の引き渡しや取り下げなどを裁判所から促されることもありますが,あくまでも促すことですから,決着がつかない場合には判断に至ることがあります。

 

 審問の手続きでは子供の養育監護をしている側は子供を裁判所に連れていく義務があります。審問に近接して判断が下され引き渡しが図られることもあります。ちなみに,裁判所の判断にはいきなり最高裁判所への不服申し立てとなっています。

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