どの程度別居をすれば,離婚が認められるのでしょうか?
離婚裁判で問題となるのは「修復困難」かどうか
タイトルの質問に対する答えは,様々な事情の総合考慮なので,かっちりとしたものはないということです。法律改正要綱案で5年という話が出ていましたが,法律で定まっている和池ではありませんし,短い期間で認めたケース・そうでないケースなど裁判例を見ても事情によってまちまちです。
離婚をするかどうかでご夫婦の意向が対立している場合には最終的には離婚裁判で離婚をするだけの法律上の原因があるかどうかが問題となります。その中心は性格の不一致その他の総合である「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるかどうか(簡単に言えば修復ができないといえるだけの事情があるかどうか)になります。
離婚調停までの段階では感情面の問題もありますが,こうした事情がどの程度ありそうかの見通しを考えて判断をしていくことになります。もちろん微妙なケース(あくまで最終的は事実が何かを踏まえての裁判官の評価になります)がありえます。いずれにしても,見通しの下に離婚調停で終わらせるのがいいのか・離婚裁判まで進むのかを決める必要があります。その際には,離婚調停はあくまでも話し合いのためにそこまで厳密な証拠の話が出てこないのに対して,離婚裁判の場合には修復が困難であることを基礎づける事情の整理などが必要という点と証拠をどうするかという点を考える必要があります。
修復を望む側からしますと,そうした点がどうかを整理して見通しを立てるだけでなく,実際にどのような修復が可能なのか・修復のための具体的行動をとっているのかをきちんと考えておいた方がいいでしょう。単に離婚したくないというだけでは,修復意志がないものと離婚裁判の段階ではとらえられかねない可能性があります。
別居期間だけで決まるわけではありません
何をもって別居というのかという問題があります。単身赴任(通常は仕事の都合で別に暮らしているものの,日常亭な連絡その他やり取りがあると想定されます)を除き別々に生活している・家庭内別居と呼ばれる同じ場所で生活をしているけれども,実際にはやり取りや共同での生活実態がない場合が考えられます。いずれにしても,夫婦関係が疎遠になり修復が可能であるのかどうかを客観てkに把握することができる事情には違いがありません。
とはいえ,単身赴任か別居といえるのか・家庭内別居といえるのかは生活実態を示す証拠が必要な場合もありえます。前者であれば連絡の内容や頻度その他・後者でも住所は一緒だけれども別生活であることを示す資料等今述べたものに限りませんが,争いが出てくる場合には資料の準備が必要になります。
こうした期間の長さだけでなく,修復を求める側が何かしら具体的な修復のためのやり取りや努力の形跡を見せたのかどうかも重要です。こうした点がなければ修復の意思が実際にはそこまでないととらえられる可能性があります。生活費の支払いを修復を求める側がしていないというのであれば,この可能性は大きくなるでしょう。
こうしたやり取り内容や有無・離婚意志や修復意志の強さを示す事情などを総合的に考えて,修復の目途があるかは決まってきます。あくまでも離婚裁判での話ではありますが,弁護士など専門家に相談をしてみることで状況を落ち着いて捉えてみることで見通しを考えるのも方法の一つにはなるでしょう。