よくある相談

元妻側が親権者となったものの,子供の面倒をみる現状が一致しない場合,親権者変更はできるのでしょうか?

親権者変更がなされる場合とは?

 離婚の際に,協議による場合でも様々な要素をきちんと考えての場合もあれば,とりあえずの話と考えて決着をつける場合もありますが,親権者については取り決める必要があります。そして,一度取り決めた以上はそう簡単に変更する事には問題がありますから,基本的には親権者の変更にはハードルが存在します。

 

 取り決めの際にはその時点までの事情や近々あるだろうことはある程度考慮して決めているだろうという点を重視しますと,考慮をしていなかった事情が起きた場合に親権者の変更を行うべきという考え方になってきます。ただ,事情の変更といっても,様々な要素があります。あくまでも変更をどうするかはその子供にとって監護環境その他の変化であって,監護者を変更したほうが子供にとって好ましいと評価できる事情である必要があります。

 ここには一定の評価が加わるので,事実として,親権者となった親が経済的・健康面その他の事情で面倒をみることができなくなったこと・別の親が子供と結びつきが十分にあるといえる事情・別の親の元で監護が十分できる事情等の事柄が必要になってくるでしょう。具体的にどういった事情が必要なのかはケースごとで異なってきます。

 

 いずれにしても,こうした親権者の変更は家庭裁判所の手続きが必要であり,場合によっては家庭裁判所調査官による調査もされることがあります。

子供の面倒を見る方の変更があった場合

 タイトルの事情があった場合には,まずその背景となる事情が問題となってくるでしょう。元々の監護をしていた側(このケースでは妻側)の監護の態勢や能力面(お金の話や健康面,周りのサポートなどの事情)や面倒をみる方を変更したきっかけや経緯,新たに面倒をみることになったご自身の監護能力や態勢も問題になってきます。こうした中では,元妻側ご自身の今後の監護や親権者をどうしていくのかというご意向の点も問題になってきます。

 

 そのため,親権者の変更を求める場合には,こうした事情を整理しておく必要があります。単に事実上子供の面倒をみている人が変わったというだけの話にはとどまらないでしょう。

離婚の際の取り決めと現状があわない場合

 先ほどの話と異なり,取り決めをしたものの現状とあっていない場合も考えられます。例えば,妻側が希望をしたので子供の親権者を妻としたものの,実際にはご自身が子供の面倒をみている場合が考えられます。この場合に,他に大きな事実変化がある場合もありえますが,離婚当初からの監護状況や態勢等が同じ場合には,その後この現状に具不都合を感じ親権者の変更を求めても大きな事情の変更がないのではないかという話も出てきかねません。

 

 親権者と実際に子供を監護する人を分けることも可能という考え方もありますが,不都合な場合もありえますし,実際には避けるべきであると考えられています。また,ケースによってはそこまで事情を考慮することなく親権者を決める場合もありえます。特に現状と親権者(通常は子供の監護も行います)の状況があっていない場合には,こうしたケースもありうるでしょう。

 こうした場合に強く事情変更を要求すると,子供の利益の点から見て監護環境はどちらがふさわしいかという考慮に反することもありえます。そうしたことから,実際の裁判例の中では,こうした事情の中で事情の変更を要求せずに,父母双方の監護能力や環境・態勢面などを考慮して親権者の変更を認めたものもあります。

 

 ただし,あくまでもケースごとの事情によっては事情変更にこだわることが子供の利益に反するという点を踏まえてのものですから,取り決めをした際の事情等様々な点を踏まえる必要が出てきます。

 

 

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