一緒に長年生活していた相手との交際解消にあたり,財産分与の問題は出てくるのでしょうか?
交際が内縁・事実婚と評価されれば,問題は出てきます。
タイトルの通りで,交際の状況が内縁と法律上評価される場合には,財産分与の問題は出てきます。これは,内縁が法律上の結婚に近いところがあるのでそれに応じて結婚の解消の際の財産の清算を行おうとしているためです。
ただし,いわゆる死別の場合には相続人にはなりませんので,遺言書が存在する・他に相続人がいない等の事情がない限り財産は引き継げません。
ここでの財産の清算は,法律上の結婚をしている場合と同等に考えられることができます。もっとも,婚姻届けをはっきり出していないということもありますから,いつの時点からいつの時点までなのか等が分かりにくいことは考えられます。
内縁の場合であっても,内縁であったことを示す資料等や解消がなされた資料・その他清算対象となるもの野資料などを準備すれば,財産分与を求める側は家庭裁判所での調停を申し立てることも可能です。内縁の解消がなされる場合には,事後での請求や申立も考えられますが,解消後2年以内となります。もちろん,家庭裁判所での調停に至ることなく,お互いの話し合いで解決することも可能です。
ちなみに,内縁を解消する場合には,不当に解消されたかどうか(このことを理由とする損害賠償請求の話が出てくることもありえます)も問題となることがあります。そうした金銭面を含めた問題の中で,財産分与の話が出てくることもありますから,どのように話を進めるかはケースごとの状況を見てからになるでしょう。
内縁や事実婚と評価される場合とは?
内縁や事実婚とはあくまでも,ある状態を指しての評価ですから,実際にそう言えるのかは個別の事情により変わってきます。少なくとも,交際をしていた・一時期一緒に住んでいたから当然に内縁や事実婚とは言えません。
事実婚あるいは内縁とは,実際には法律上の結婚はしていないけれども,それに近い状況であることから,それに見合った法律を用いれるようにしようというものですから,法律上の結婚に近い状況は要求されます。その中には一緒に生活をして,生計が一緒であり協力し合っているという要素は重要になってきます。一般にはこのほかに,夫婦として共同の生活を送る意思が外部に示されていることが重要になります。意思といってもご本人同士の気持ちは周りには分からないため,必要となります。
例えば,毎年夫婦として周りに年賀状などを送付していたとか・夫婦として行事ごとに参加し紹介されてきた・披露宴などを行ったというのが一例として考えられます。
実際には,様々な事情を考慮することになるのは先ほど触れた通りですが,長らく一緒に生活し周りとそのように接してきた場合には,内縁と評価される場合は増えてくるものと思われます。