よくある相談

認知をした場合の養育費・婚姻費用の支払いはいつからになるのでしょうか?

養育費や婚姻費用の支払いの開始時点は?

 養育費や婚姻費用の支払い義務は,いずれも扶養の必要が生じた時点からになります。ただし,一般的には調停を申し立てた・金額を含め明確な請求がなされた(例えば,月〇万円払ってほしいという手紙が届いた等)時点であると考えられています。

 この支払い希望額通りの金額を支払うのかどうかは話し合いの結果あるいは裁判所での手続きで決まりますが,請求が明確になった時点から生じます。もちろん,明確な証拠もなく,言った言わないという話の場合には請求が明確になったことははっきりとはしませんから,特に裁判所での手続きにおいては調停などの申立て時点と考えられる場合があります。

認知を請求される場合の特別な点は?

 認知が問題になるのは,男性側が特に結婚しているわけでもない女性との間で子供が生まれた場合です。結婚している相手であれば,法律上の親子関係が生じますので特に認知は問題になりません。また女性の場合には出産の事実から法律上の親子関係が生じますから,この場合も別に特に認知は問題とはなりません。

 認知については,相手の女性との話し合いを踏まえて認知届を出す・家庭裁判所に認知を求める調停の申立てをする・強制的に認知を家庭裁判所にしてもらう裁判があります。話し合いがすぐにまとまるケースでは,お互いの話し合いをもとに認知届を出し養育費を決めるということになるでしょう。これに対して,話し合いがなかなかつかないケースでは親子関係の存在も争点となり,まずは認知をするかどうかが問題となり時間がかかる可能性が出てきます。

 養育費は法律上の親子関係があって生じる扶養義務に基づくものですから,認知が調停あるいは裁判での判決によって生じない限りは負担義務も生じないことになります。ただし,認知がなされた時点からということになると相当に時間がかかり養育費の支払義務が生じる時点が極めて遅くなる可能性があるというのが特別な点になってきます。

裁判例の傾向(出生まで遡っての請求を認めたケース)

 裁判例の中では,認知の手続きを終えたのちに養育費の請求(調停の申立て)がなされ,その後裁判所の判断がなされたものがあります。高等裁判所レベルの判断ですが,第1審の判断を覆して,養育費の請求の時点(調停申立ての時点)ではなく,問題となった子供が生まれた時点まで遡ると判断をしたものです。

 その理由として,法律上認知をした場合の法律上の親子関係が子供の出生時まで遡ると定められていること・請求の時点から支払義務が生じると考える合理的な根拠がないことを理由としています。認知を行うことでトラブルになっている場合には,認知→養育費の請求という話をしていると,時間がかかるうえにケースによりどこから支払義務が生じるのかがバラバラになりかねないという問題があります。
 もちろん,このケースでは支払開始時点で折り合いがつかなかったがために裁判所の判断に至ったのではないかと考えられますが,お互いの話し合いにより支払時期をある時点からにすること自体は可能です。ただし,養育費の支払いを求める方は可能な限り早くから支払義務を負担してほしいという希望を出してくるだろうという話や,遡るという判断を出している裁判例もあるという話,認知に至ったという子供に対してどのように対応をしていくのかという考えをきちんと整理して,いつから・どの程度の支払いをするのか考えていく必要があるでしょう。

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