よくある相談

婚姻費用や養育費等の未払いの場合に給与等の差し押さえのあった場合の対応の一つ,差押え範囲の変更とは?

給与などの差し押さえはどこまで可能でしょうか?

 離婚に伴う取り決め(養育費やお金の支払い)や生活費(婚姻費用)に関する取り決め通りにお金の支払いがない場合には,公正証書あるいは裁判所での取り決めや決定(調停や和解・審判など)があるケースでは財産や給与が差し押さえを受けるリスクがあります。財産の場合には一部禁止や売却ができない場合もありますが,競売がされる形になります。厳密には未払いが続けばになりますが,これとともに給料の差し押さえや預金の差し押さえがあります。こちらも,未払いは続く限り差し押さえた範囲で妻側にお金が支払われることになります。

 信用面その他の問題があるので差し押さえを受けることには注意が必要ですが,不動産や預金・給与に関する情報取得のための手続きが令和2年4月に導入された(一部導入時期が異なるものもあります)こともあります。こうした財差に関する情報取得の手続きに基づき差押えや回収を受けるリスクが高まった点には注意が必要です。なお,情報取得の手続きに関しては別のコラムで触れる予定です。

 
 特に今後の生活に関わりかねない給与の差し押さえについてですが,総支給額ではありませんが養育費や婚姻費用の場合には最大1/2までが差し押さえの可能性があります。その他に関しては1/4となりますが,影響は大きくなりかねません。

差押え範囲の変更とは?

 先ほどの差し押さえや回収は生活に影響を及ぼすことがあるため,対応手段として差押え範囲の変更の申し立て(裁判所に対して行う必要があります)の制度が用意されています。この制度自体は差押え・回収の範囲を小さくしてもらう・なくしてもらうという使い方以外に拡大してもらうという使い方もあります。いずれにしても,差押えの範囲を小さくしてもらう申立てを考える必要があります。
 先ほど触れました給料の差し押さえ(預金もそうですが)については,ご自身と勤務先あるいは金融機関に差押えの通知が届いてから1週間で差押えおよび取り立て(回収)の効力が生じるとされていました。これでは差し押さえや回収に関して対策をとることが難しいのではないかという話もあり一部法改正がされています。これによると,給料等に対する差押え・回収の場合には4週間が経過しないと効力が生じないとされ(期間が延びています)・差し押さえ範囲の変更の申し立ての制度の説明が裁判所からされるようになりました。後者は制度を知らない方が多いという点を踏まえてのもので,差押えの決定書とともに説明を記載した書類が送付される運用となるそうです。ちなみに,例えば,預金口座は改正の対象ではない点は注意が必要です。

 とはいえ,問題は申し立てても差押え範囲の変更はどういった基準でなされるのだろうかという話になります。せっかく申し立てても見込みがないのであれば意味はありませんし,先ほどの説明の資料でも具体的な見通しなどは説明がある明けではありません。ここはご自身で専門家に相談をするなりして見通しを立てる必要があります。

 法律上は範囲変更の要件として,支払う側・支払いを受ける側それぞれの生活状況やその他の事情を考慮するとされています。申立の際には,ご自身の生活が苦しくなることやその内容を具体的に資料や言い分でまとめることや相手方の生活に余裕のあることその他の事情を具体的に記載する必要があります。それに対して相手型にも反論や資料の提出の機会が与えられることになります。負債の支払いが苦しいという言い分はよく想定される話ですが,特に養育費の場合には負債の士は会いの方が先行すると考えられるわけではありませんので,範囲変更のハードルは高くなります。生活が病気その他の原因で苦しい場合には診断書その他資料を出す必要があります。また,生活にご自身も相手方も苦しい場合には,当然に範囲が小さくなるわけでもない点には注意が必要でしょう。
 裁判例の中では,給料や家族構成・健康状態などを詳しく見て判断をしたものがありますので,具体的な事情を資料の有無とともに整理をしておく必要があるでしょう。

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