よくある相談

不倫(不貞行為)の話を解決するときの接触禁止や違約金の意味合いや注意点とは?

示談書の中における言葉の意味と示談をする際の注意点

 不貞行為(不倫)の慰謝料請求を行う場合に,その動機は慰謝料を取得して離婚もするというものや主に別れてもらうように誘導するなど目的は様々です。後者の場合に,示談交渉であっても裁判であっても話し合い解決をする場合には,今後接触をしない・接触をした場合の違約金の話を入れることもあります。

 この内容は別れてほしいという側から見ると重要性は増します。違約金の項目を入れることで,本来は慰謝料の原因にならない項目まで金銭請求の可能性を開くとともに,今後付き合わないということの実効性を高めるためです。逆に慰謝料請求をされた側としては,そもそも不貞行為(不倫)の事実関係がどうなのかという話もありますが,仮に認める場合にこうした項目を入れるのにどこまで応じるのかという話が問題になってきます。それは,慰謝料は支払うが別れないという意向(この場合には慰謝料が金額面で大きくなる可能性はあります)なのか・別れるけれども広く金銭請求の道が開けるのは嫌だという話なのか・もう付き合うことはないのだからどんな条項でも構わないという話なのかということで変わってきます。

 別れてほしいという側からすれば,金額面で折り合う余地を持たせることで,もう接触しないという内容を広くしてもかまわないではないかという考えが出てくるところです。いわゆる職場での不貞行為(不倫)であれば,仕事面はともかく他では接触しないはずなので,その点を条項に反映させれば十分である・その他のケースではそもそも接触する機会がないはずだから,広く接触しないという話にしてもいいだろうという意向がはたらく可能性もあるでしょう。

 
 こうした点のせめぎあいになりますが,先ほどの意向とともにどういう項目がいいのかが問題になるのは,慰謝料請求をされた側でかつ別れることに同意をする場合になるかと思われます。今後もしどこかで偶然めぐり合わせた場合まで違約金の請求を受ける可能性がありますし,合意をする違約金額によっては突然大きな負担になりかねないためです。
 これを避けるためには,金額面を調整する(請求側は別れて接触しないなら大きくても問題ないのではと言ってくる可能性はありえます)というのもあります。このほかに,支払うべき場合を限定する・はっきりさせるというのもあります。例えば,偶然めぐり合わせた場合を除く・正当な理由がある場合を除く(何かしら仕事その他の用件がある場合)等様々考えられますが,解釈によってどうとでもできるということになると,後でトラブルの原因になりかねません。どのようにするのかは,取り決めをする際によく考えておく必要があります。

後で争うことは可能?

 ここで争うとは,違約金を使って禁止している場合に当たるのかどうか(示談書の記載内容の解釈が問題になるケース)・接触禁止に違反するなど示談書で決めた事柄が事実としてあったのかどうか・示談書の合意自体が無効あるいは取り消されるべきものであるとして争うケースが考えられます。

 このうち,禁止している場合に当たるのかは,その解釈が成り立ちうる内容なのかによってきます。どちらの解釈も成り立ちうる場合には解決が簡単にはできない可能性があります。次に,事実として違反があったのか問題になるケースでは,証拠が存在するのかがポイントです。相手の一定いる話に身に覚えもないし,証拠もないという場合には請求に応じるのは難しくなってきます。請求をする側も証拠等の確認は必要です。

 最後に,後で示談書が,相手に脅迫されて署名をしたものであると争うのはハードルがかなり高くなります。これ以外にも無効や取消となるべきという原因もありますが,脅されたというのが代表例の一つではないかと思われます。この場合には,その内容で署名をしている以上は有効が前提で,あまりに広い内容について高額な違約金というのも通常ではない状況で合意をしたことを示す話の一つにはなりますが,それだけで十分とは簡単にはならないように思われます。例えば,深夜数時間にわたり相手が数人で大声を出された・脅されたというのであればその内容等の具体的に脅されたという内容面の話(ここが弱いとそもそも脅されたという話とはいいがたくなります)が問題になります。そのうえで,その証拠がどの程度あるのかという話が問題になります。言った言わないではもちろん弱くなりますし,他に何かしらやり取りの証拠(例えば,メールやラインのやり取りなど)が残っているならばその確認をする必要があります。

 いずれにしても,相手と示談交渉をする際には,内容がそれでいいのか・今ここで話をつけていいのかをきちんと考えておく必要があります。

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