よくある相談

結婚をしていない相手との間に子供ができた場合の対応

認知の意味と仮にしない場合のリスクとは?

 認知は簡単に言えば,結婚していない男女の間に子供が生まれた場合に法律上の親子関係を発生させるための手続きになります。法律上は男女ともに問題になるかのような記載がされていますが,実際上は出産・分娩の事実がある女性(母親)についてはそこまで問題になることはありません。主に問題になるのは男性の場合です。

 認知自体は血縁上の親子関係を基礎にするのが原則ですが,認知届を出すという任意認知をすることはできます。ただし,この場合には実際には血縁関係がないにもかかわらず,法律上の扶養義務(養育費の支払義務)や相続の問題が出てくるという問題があります。一度認知をした場合に取消は法律上できません。ただし,最高裁の判例上,事実に反した認知であった(つまり,血縁関係がなく他に血縁関係のある父親がいる)を言うことを示して認知が無効であったとの確認を裁判所の手続きを使って求めることができます。補足しますと,この最高裁の判例は一律に無効の主張を認めたものではなく,一律に制限するのはおかしいというのであって,無効の主張が制限されるケースは判断の内容から制限される(権利濫用の場合とされています)でしょうけれども,注意は必要でしょう。
 この話は女性側から強く認知を求められていったん認知はしたけれども,実際と異なることが分かった場合に問題となりえます。したがって,これまでの経過等を踏まえてどうするのか慎重に考える必要があるでしょう。

 少し話が脱線しましたが,認知をするかどうかは男性側の判断次第ではあります。ただし認知をしないとした場合,女性側も対応手段があります。それは,認知を求める調停あるいは強制的に認知をしてもらう裁判を家庭裁判所に起こすということはありえます。この過程でいわゆる不貞行為であったことが判明しトラブルが大きくなる可能性もあります。もちろん,認知をめぐる裁判手続きやその後の養育費の面でのトラブルが大きくなる可能性もありえます。
 そのため,事実に反した認知をしてしまったことだけでなく,事実に沿った認知をしないこともさらに大きなトラブルにつながる可能性があります。

認知をしない場合に支払うお金の扱いと意味合いは?

 認知をしない場合には複数の場合が考えられます。そもそも出産に至らないケース(いわゆる中絶の場合)や出産はするけれども,認知をしない形にするということもありえます。前者についてはお互いの話し合いや女性側の判断次第ですが,強く中絶を求めることがあった場合,そのこと自体を含めた慰謝料請求をその女性から受ける可能性があります。

 タイトルのような場面ではいわゆる不貞行為がありその対応も含めて問題となり,妻側との話やその他の事情から認知はとりあえずしないことに合意をして,お金を支払うという可能性もありえます。この場合のお金は養育費とは異なるお金ということになりますが(贈与),後で認知をするのかどうかが問題になった際には親子関係が存在することの根拠の一つになる可能性もありえます。
 また,仮に認知はしない・お金は支払うという合意をその女性としたとしても,後で認知を求める手続きは原則として縛られないように思われます。認知とはあくまで子供のために父親を定めて法律上の親子関係を形成しようというものなので,養育費についても母親側が請求しないと誓約をしても請求が可能である点に照らして,認知を求めることが縛られることがないように思われるためです。実際最高裁の判断でも放棄を認めないと判断されています。一部お金を十分もらった場合などには例外を認めてもいいのではないかという見解もありますが,この判例の判断では例外の可能性には触れていません。

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