よくある相談

保護命令の申立てをされた場合の対応はどうすればいいのでしょうか?

保護命令の制度とは?審理の流れは?

 保護命令とは,配偶者からの暴力や暴言など精神的なハラスメントを受けた方がさらに身体に対する暴力を受けることで,生命・身体に対する重大な危険が生じる恐れがある場合に,加害者に対して一定の行動制約を課す制度です。この記事執筆時点である令和3年3月時点では,今後性的行為の強要や精神的な暴力(生命身体などへの脅迫行為など)をしたことについても保護命令の対象とする法改正を検討するという報道がされてはいますが,現状は身体的な暴力のみが保護命令の対象となっています。

 法律の文言自体は分かりにくいですが,令和3年3月時点では主に女性側の被害を念頭に
 ①身体への暴力+身体への暴力
 ②生命・身体への害悪の告知という意味の精神的暴力(脅迫)+身体への暴力
 という行動に対して,保護命令という制度が違反への刑事罰を伴って設けられています。ちなみに,男性が被害者となる場合であってもこの制度は適用されます。

 現在の制度では,結婚をしている夫婦の他、内縁の場合(その後に離婚あるいは内縁解消した場合),いわゆる交際の場合についても適用されることになります。

 ここでの保護命令は,6か月間の接近禁止命令(近づかない・周囲をうろつかないなど)のほかに,一緒に生活をしてきた家からの退去(2か月間),6か月間名誉の侵害や面会強要・連絡を取るなどの行為の制限を命じられるものがあります。

 このほかに,一定の親族への6か月間の接近禁止や子供への接近禁止が命じられることもあります。後者については,避難先その他からの連れ去り等の言動から子供に関することについて被害者と加害者が面会せざるを得なくなる場合について命じられることになります。

対応の際の注意点とは?

保護命令の申し立てには,これまでの暴行や脅迫を受けた際の事情や時期・面会強要・生命や身体への危険のおそれの原因といえる事情・警察などへの相談歴等を書類に記載する必要があります。この書類とともに証拠資料があればその資料を含めて,申し立てを受けた側(加害者とされる側)に対して裁判所での言い分を聞く日程とともに送付されることになります。

 保護命令については申立てを受けた裁判所が言い分などに基づいて,事実関係や法律で定める保護命令を認める要件を満たしているのかどうかを判断します。保護命令の効果が大きいことから,加害者とされた側の言い分を聞くのが原則とされていますが,迅速に審理と判断をすることが求められています。また,加害者とされた側の言い分を実際に聞いていたのでは保護命令の目的を達成できないという場合には,言い分を聞く期間を与えずとも判断できるとされています。

 実際には,迅速な審理判断のために,申立てがされると非常に早くに近接した日時で言い分を聞く機会が設けられることが多いです。この日時は裁判所が指定をする日時であって,加害者とされる側の意向を聞いての話ではありません。仕事その他の用件で家を空けている場合には申立てがあったことや書類が来たことなどを知らないままに裁判所の判断が出てしまうというリスクがあります。仕事で裁判所に出向けないという場合であって,特に反論その他を出さずに裁判所に出向かない場合であっても同様です。

 もちろん,実際にひどいDVを行い,妻側が援助を求めかつ危険があるという場合には,争う意味がない場合もありますし,そうした事態に至った点をよく考えておく必要があるでしょう。これに対して,実際とは異なるという場合であれば,争うのかどうか・争う場合の準備をきちんと行う必要があるでしょう。保護命令は接近禁止その他の行動の制限を違反への刑事罰を伴って行うものですし,その後仮に離婚をめぐる話し合いなどでDVの存在を前提とする言い分がされた場合には争わなかったことはその事実を認めたのではないかという主張を受ける可能性等がありえます。
 こうしたその後の見通しも踏まえて争うのかどうかを早くに決めて対応していく必要があります。

 ちなみに,保護命令の判断はケースによっては裁判所に出向いたその場で出されることもままありますので,そこにある判断内容のほかに理由の要旨(争いがある場合にその理由が十分でないと感じるケースも十分あるように思われます)等を検討する必要があります。特に保護命令が出た場合には,不服申し立てをするのは14日以内とされていますので,不服申し立てをするのか・その準備をどうするのかを決めて準備する必要があります。

 対応をするには,今まで述べたリスクや早急な対応が必要なこと・ご自身で把握している事実関係や保護命令の内容をどう考えるのかという点があります。

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