よくある相談

祖父母は孫についての監護者指定や面会交流を求められるのでしょうか?

実際に会うことができるように話をつける場合

 離婚の際に面会交流が問題となる場面で,妻側が親権を持つのであれば夫が面会交流を求められることができるのかという話以外に,夫の実家に連れていくことができるのか・祖父母に面会交流を求めることができるのかという話が問題になることがあります。

 離婚問題に至る過程で相手の実家にネガテイブなイメージが持たれている場合,そうではない場合など問題になるかどうかはケースによって異なります。関係が良好である場合には面会交流についての自由度は高くなるので,実家へ行くことなどには制約が少なくなることが多いように思われます。これに対して,葛藤が大きな場合にはまず夫側の交流を軌道に乗せることができるのかどうかが大きな問題になってきます。実家の両親との交流まで話が進むのは容易でないケースもありえますので,まずは夫側との交流をきちんと行っていくこと・軌道に乗せることが重要になります。

 なぜ制限されるのかというお気持ちが出てくるかもしれませんが,後で触れますように裁判所の手続きを使って面会交流を求める権限は祖父母にはないこと・一歩ずつ進めていくことが重要という点は頭に置いておく方がいいかと思われます。

裁判所を使った手続きを取ることは可能?

 結論から言うと使うことはできません。ごく最近(令和3年3月)に最高裁判所の判断が出たところです。判決文からは,別居後の夫婦のうち妻側の親(祖父母)が監護にある程度かかわってきたというケースで,この祖父母から面会交流を求める手続きが裁判所に申し立てられた模様です。
 裁判所の判断では,法律上面会交流を含む子の監護に関する事項は,父母が離婚の際協議により定めるとしている・他に祖父母に面会交流を認める規定がないという点から,祖父母に面会交流を求める権限がないと判断しています。この理屈から言うと,仮に離婚前に相当程度監護に大きな役割を果たしており,子供の側も祖父母に会いたいといっているケースであっても,裁判所の手続きを使うことにはできないという話になりそうです。

 同日付で,祖父母が長く子供の監護に関わってきたケースで監護者の指定を求めたという話についても,監護者の指定についての手続きを申し立てる権限は祖父母にないとの判断が出ています。経緯は不明な点がありますが,判決文からは,離婚後に元妻が実家で子育てを行い,実家を出た後はその父母(子供にとっては祖父母)が監護を行っていたというケースのようです。
 ここで権限がないという判断の理由となる点も,子の監護に関する事項は父母が離婚の際に協議をするという規定・その他法律上で子の監護に関する審判などの申し立てを認める規定がないからという判断に基づきます。

 このように,面会交流や子の監護者の指定について祖父母には裁判所に申立てすることができないという点が裁判所の判断ではっきりとしましたので対応を考える際には注意が必要です。

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