よくある相談

実家からのお金の援助・実家への援助は,離婚の際の財産分与でどのように考えられるのでしょうか?

実家から援助を受けたお金の扱いは?

  離婚の際にお金の問題が起きると,そこで問題になる話の一つにそれぞれの実家から受けたお金の援助や財産の譲渡をどう考えるのかというものがあります。実家から借りたお金だから返さないといけないというものから,それぞれへの贈与である・夫婦二人への贈与であるというとらえ方の問題を含めて対立が生じることがあります。

 このうち,家の購入の際の頭金・生活に困った際の援助などの名目でお金を送ってもらうということがあります。こちらが借り入れなのか(誰が借りているのかという問題もあります)・贈与なのか(誰に対する贈与なのか)かが問題になります。多くは借り入れという書類もなく実態は贈与ということになろうかと考えられます。特に購入後やもらった後に返済をした形跡がないとなると,夫婦間の対立が大きくなってから突然お金が動くというのは,借り入れにしては不自然ということになります。時間が経過すればするほど,そう考えることになるでしょう。

 援助と捉えられる場合に,誰に対するものなのか・扶養の範囲内なのかも問題となります。夫婦双方に対する援助であれば財産分与での清算の対象になります。実の子に対する援助であれば,財産分与の対象にはなりません。理屈上はこう捉えられますが,実際には贈与の趣旨などからどう考えるのかが難しいケースがあります。例えば,相続時精算課税制度の届け出があるなど他の事情から相続の前倒しといえる贈与といいやすい事情があれば,一方への贈与といいやすくなります。
 これに対し,夫婦双方に対しての贈与といいやすい事情があれば,財産分与の対象となるでしょう。
 

実家への援助として渡したお金の扱いは?

  親子の間には法律上扶養義務がありますので,夫婦どちらの実家に対してもこの範囲の援助は法律上の義務になります。他方で,夫婦の共有財産から流出したお金は財産分与の対象として,戻して計算したほうが公平な清算になるのではないかという考えもあります。

 結論として言えば,扶養義務の範囲内にあるお金は法律上の義務を守るものですから,清算の対象として考えることにはならないでしょう。しかし,どこまでがその範囲なのかは大きな問題です。金額が小さい場合にはそう問題にならないでしょうけれども,1回あたりの援助金額が大きく複数回存在する場合には,扶養の範囲化が問題になることも想定できます。

 実際はケースバイケースにはなりますが,これだけのお金の援助をしてもらうだけの必要性が存在するのかを,生活状況やお金が必要な理由その他から考えていくことになるでしょう。生活水準その他の話もかかわってきますので,絶対額が大きければ問題とはなりやすいのですが,それだけで当然には決まらないというのがここでの注意点といえるでしょう。

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