よくある相談

妻が家を出て行方不明の場合に,離婚を求めることは可能?その場合の方法とは?

行方不明というのは離婚原因になる?

 妻が家を出て行ったきり行方が分からないという場合があるかもしれません。住民票が動いていない場合には,事実上どこにいるかがわからない限り,妻側の居場所や連絡を取ることが難しい場合も出てきます。電話やメールその他の手段で連絡が取ることができればいいでしょうが,行方不明という場合には,連絡を取ることができない場合も多いのではないかと思われます。

 この場合,離婚届へ妻側の署名を得ることは難しいので,最終的には裁判離婚を考えることになります。離婚届に勝手に妻名義の署名や押印をすることは犯罪になる行為ですし,離婚自体が無効になりますので,避けた方が賢明です。

 行方不明になってから7年経過すれば,失踪宣告の申立てを家庭裁判所に申し立てることも可能です。離婚ということであれば,少なくとも3年以上の生死不明は法律上の離婚原因でもあります。例えば,健康保険での受診記録から生死は判明していても,どこにいるのかわからず・音信不通ということであれば,生死不明には当たりません。この場合には長期の音信不通状況と別居などから婚姻関係が破綻しているとして,離婚の請求をすることになるでしょう。実際に,離婚裁判まで至る場合には,音信不通の状況や期間・音信不通になった経緯やそれまでの夫婦関係等を考慮しての裁判官の判断になります。

具体的な話の進め方は?

 家庭裁判所の手続きを使う場合に問題となるのは,相手の居場所がわからないという点です。離婚調停はもちろん,離婚裁判であっても裁判所からの書類は相手の手元に届く必要があるのが前提です。どこの裁判所で離婚調停や離婚裁判を行うかは,相手の住所がどこにあるかが影響します。特に離婚調停では相手の住所地が原則になります。

 住所地は住民票の調査が必要になります。別の場所へと何回か移っている場合には,どこに移ったのかを調べることは原則としてできません。離婚調停や離婚裁判の依頼を受けた弁護士であれば,職務上請求として相手の住所特定のために住民票の取り寄せは可能です(もちろん,取り寄せた個人情報を別の目的では使えませんし,第三者に開示もできません)。住所地が変わっていないということになると,何かしらの記録から現在の居所を調べることになります。

 これでも調べられない場合には,離婚調停を行っても出頭を望めませんし,離婚裁判でも書類を相手が受け取ることは期待できません。離婚裁判では強制的な離婚につながる可能性があるので,争う機会を確保するために書類の受領(「送達」と呼ばれます)の意味は重要になります。最終的には「公示送達」という裁判所に書類を掲示して受領したのと同じ扱いができるのかが問題となります。
 この方法は最終的な手段であり,相手の住所や居所・勤務先の調査をしても分からない場合など取ることが出来る場合が法律で限定されています。そのため,住民票での調査は必要ですし,最後の住所地や居場所が判明しているならば,そこに居住しているのか・次にどこへ移ったのかを可能な限り調べる必要があります。何かしらの記録(例えば,先ほど触れた健康保険の診療を受けた記録)から,ある時点で・ある場所の付近にいたことがわかる場合には,その場所に対して,居所などがわかるか照会は必須となります。その他連絡先につながる情報がわかる場合には,個人情報なので開示ができないといわれる場合はありますが,可能な限り照会をしておく必要があります。

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