よくある相談

会話ややり取りの記録のための録音その他の有効性と注意点

会話ややり取りの録音などの意味

 モラハラ行為の有無や夫婦関係の悪化につながるやり取りがあったかどうかの多くは,言った言わないという話しになりかねない可能性があります。大きなトラブルになり警察に通報したとしても,警察への相談記録(開示請求の必要がありますし,黒塗りにされる部分が相当程度出る可能性があります)ではあくまでもやり取りがなされたということ程度が証拠としての意味を持ちます。もちろん,何かしらの対応が警察によりなされた(例えば,DVで刑事事件となる場合)にはその意味での証拠ともなりますが,相談記録自体に記載内容が真実であると示すことには必ずしもつながらない点には注意が必要でしょう。

 これに対し,実際にあったやり取りは,その場を画像などに記録する・やり取りを音声で記録していれば,事後に手を加えたということがない限りは,やり取りの内容やその際の様子を示す直接の証拠となります。音声であっても,話などをしている内容, 声のトーンなどや前後のやり取り等が記録されることもありえます。動画などとなると,その部分も証拠化される可能性があります。

 ただし,どういった場面から記録をしたのか・記録の必要性があったのか等が問題になります。ご本人同士のやり取りであれば,いわゆる盗聴・盗撮にはならないものの,私生活の平穏などを侵害する等の可能性があるためです。また,そのやり取りなどによっては,夫婦関係を悪化させる行為になる可能性もありえます。

秘密録音行為その他を行う場合の注意点・違法となる場合とは?

 録音などは証拠を取得できるという便利な面があります。他方で,家の中でのやり取りなどは私生活の平穏を侵害する側面がありますので,その撮り方や長さ,必要性の有無等によっては損害賠償請求の原因となりかねません。夫婦間の信頼関係破壊の原因の一つにもなりかねず,修復しにくくなるという意味で離婚原因となる可能性もあります。

 録音などの取り方も何かしらケンカその他があった際に,必要があってその現場を録音するというものから,何かしらの機器に録音できる装置を設置する等私生活一般を録音することになりかねないものまで,その内容などは様々考えられます。確たる必要性や理由もないのに,私生活一般を記録できるようにしておくことはプライバシーその他の侵害として違法行為・慰謝料の発生原因になる可能性があります。

 裁判例の中にも,相手の承諾を得ずに家の中などにICレコーダーを複数台設置して録音をした行為に関して,特段の録音の必要性を示す事情がないとして,慰謝料の支払いを命じた判断があります。そこでは,私生活の平穏を侵害する録音行為は,必要性などがない限りは違法になると判断しています。
 ここで必要性というのは,以前暴力や暴言が存在したあるいはそう疑う相当な事情が存在したなどの事情を指します。実際に暴力や暴言が録音あるいは記録されたというのであれば,必要性は明らかです。仮に記録できなかった場合でも,記録するだけの事情が存在したといえれば,違法とは言いにくくなるでしょう。ここも単に言った言わないという話しではないことが必要になります。

 上記では慰謝料の原因という話をしましたが,確たる理由や必要性なく秘密録音などを行う行為は夫婦の信頼関係を破壊する理由の一つとなりえます。仮に録音などをするのであればこうした事情を頭に入れておく必要があるでしょう。逆に録音などがされているのではないかと感じた際には,今まで述べた事柄を踏まえて対応を考えておく必要があります。今回は主に録音の話を触れましたが,他の方法による場合にもあてはまる点があります。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。