よくある相談

未払いの養育費に関して遡っての請求が認められる場合はあるのでしょうか?

養育費の支払い開始時期はいつから?

 養育費を離婚時に取り決めた場合には,通常離婚をした翌月からが支払い開始と著して取り決めることが多いかと思われます。離婚時にはっきりとした取り決めをした場合には,金額はもちろん・いつからか・いつまでかが後で問題になることは少ないでしょう。これに対して,金額を含めて曖昧な約束であった・そもそも支払いの話をしていない・離婚後に限らず認知をしてもらった,という場合には,何時からの支払いになるのかが問題になってきます。

 曖昧や約束であった場合には,約束の時点からが支払い開始時期だということを言いたくなるところですが,厳密に合意をしていない場合にはそうは言えなくなります。厳密な合意が存在したのかどうかが問題はありますし,事実関係に争いがある場合には合意の有無が大きな問題となってきます。この場合には金額は支払いの終わりの時期を含め合意内容も合意の存在とともに問題となる可能性があります。

 一般に養育費の支払い開始時は,婚姻費用(生活費)と同じく具体的な請求がなされた時点からとされています。調停の際にもこの時期がいつなのか(争いがある場合に証拠からいるといえるのか)が問題となります。内容証明郵便その他の証拠に残るものからはっきりすればその時期となります。ここでいう請求とは具体的な請求である必要があります。

請求時よりも遡ることができるケースは?

 曖昧な約束や約束自体ない場合・認知請求を子供が生まされた後に行った場合に,それ以前の養育費を請求される可能性はあります。原則は具体的な請求時点であるということは先ほど触れました。そのため,原則は遡っての請求には応じる必要がないということにはなります。

 ただし,もちろん例外といえる場合はあります。この例外は,様々な事情を見て遡っても衡平に反しない場合を指すと考えられています。何が衡平に反するのか否かは個別の話の積み上げになりますが,例えば,離婚から相当期間が経過して特にはっきりした取り決めが存在しない(取り決めがあったとは言えない場合)には,遡ると大きな負担を請求を受けた側に与えることになります。特に離婚をしてから相当時間が経過してから具体的な請求をしたケースでは請求が本来できたということもあるので,こうした場合には衡平に反しないとは言いにくくなります。これに対して,認知の請求に関して裁判手続き等が存在し,その解決後すぐに養育費を請求するケースでは,認知の件が解決するまでは養育費の請求ができないので,遡ることが衡平に反しないといいやすくなります。実際同様の話を述べる裁判例も存在します。

 未払いとなっている期間における支払いを求める側・求められた側の生活状況(求める側に経済的に苦しくないという事情は否定要素となる可能性はあります)等を考慮しての話になります。先ほどの相当期間というのもどこまで行けば相当期間といえるのかという問題があります。

 このように,原則は請求を受けた時点からということになるので,遡った請求に応じる必要は必ずしもありません。例外も存在することや例外に当たる事情が何であるのかを頭に置いた方がいいケースもあります。もちろん,子供のことを考えて遡って支払いを積極的に行うという選択肢もあります。どうした対応がいいかはご意向などを踏まえて決めることになるでしょう。

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