離婚時に親権者を元妻として離婚しました。その後元妻が亡くなりましたが,私が親権者になるのでしょうか?
親権者が亡くなった後の親権者は誰に?
離婚後に親権者に指定された方が亡くなった場合に,他の親が親権者に当然になるわけではありません。親権者変更の申し立てを家庭裁判所に行い,変更が認めてもらえない場合には,親権者になることはできません。親権を行う方がいない場合には,未成年後見の申し立てを行い,監護している方や専門家が未成年後見人に指定されることもありえます。
例えば,離婚後,タイトルのケースで元妻とともに元妻の親が子供の面倒を見ていたという場合でも,元妻の親が何かしらの監護の権限を持つわけではありません。親権を持つことはないので,未成年後見の申し立てを行い,家庭裁判所が相当と認めれば未成年後見人に指定されることもありえるという話になります。
ご自身が親権者になりたい場合には,親権者変更審判などの申し立てを家庭裁判所に行う必要があります。子供の監護実態や事情の変更(ここをどこまで考慮するのかという問題はあります)等から,子供の監護を行う親権者を変更することがふさわしいという判断を家庭裁判所が行えば変更されることになります。
離婚後の交流がない場合に親権者変更の請求は認められるのでしょうか?,
親権者変更が認められるには,子供との関わりやつながりの状況・監護の能力等が問題となります。離婚後に面会交流が全くなされていない場合には,子供とのかかわりが全くないということになりかねません。この場合には,実際上子供とのつながりや親和性に問題を残すことがあり,年齢によっては新しい環境に慣れる負担もあることから,現状の監護の状況の方がいいと判断をされる可能性もあります。実際にそのように判断をした審判例も存在します。
ただし,長く関係が断絶しいても,周りの意向や子供自体が親権者以外の親との関わりを親権者の死後取り戻したことで子供とのつながりができた場合(家庭裁判所調査官の調査や提出資料などから判断)には,親権者変更をされる可能性もあります。
ちなみに,再婚をして別家庭を築いている場合には,子供自体が新しい環境になじみにくい・疎遠になっていることから,親権者変更ができる状況にないと考えがちなところではありますが,必ずしもそうなるわけではありません。審判例の中には,再婚相手も協力し子供も慣れてきた・親権者の生前から面倒を見ていた方も親権者の変更を望んでいたなどの事情があるケースで,親権者変更を認めたものも存在します。
ただし,あくまでもケースごとの事情です。これまで交流が離婚後なく長年にわたる・子供のあまり覚えてくれていない・再婚相手がそこまで協力的でない等の事情があると,子供にとって監護状況を変更することが好ましいとは言いにくくなる傾向にはあるといえるでしょう。
親権者がなくなり,引き取ろうとお考えの場合には,環境や態勢面の整備とともに子供との関係や関りなどの状況も踏まえて見通しを考えておくことも重要かと思われます。